健康便り

8月の健康便り

夏に知っておきたい応急処置 —健康—

 花子さんは友人に誘われ、山岳サークルに入りました。山では装備が大切と聞き、登山用の靴、ザック、レインウェアなど、専門店で教わりながらしっかり準備。いよいよ近場の低い山で初登山です! 思ったよりひんやりした山の空気に花子さんはびっくり。あいにく雨に見舞われましたが、レインウェアを着て寒さにも雨にもしっかり対応できました。でも、下り坂でうっかり足を滑らせ、足首をグキッ! 痛っ!!。

 花子さん、大変でしたね。夏は部活動やサークルの合宿などが催され、トラブルに遭遇することも多いでしょう。とっさの時の応急処置を覚えておくと安心です。

打撲、捻挫、骨折など:
よく冷やし、患部を動かさないように固定する。
内出血や腫れを防ぐため、患部は圧迫し、心臓より高く上げる。
傷口は流水でよく洗い、清潔なガーゼなどで圧迫止血を。
虫刺され:
針が残っている場合はセロテープなどを張ってはがすととれることが多い。
刺された周囲を押して毒を絞り出し、流水でよく洗う。
抗ヒスタミン軟膏(かゆみ止め)を塗り、冷たいタオルなどで冷やす。
やけど:
流水でよく冷やす。
服の上からのやけどは無理にはがさず、服の上から水をかけて。
水疱は破らないようにして、何も塗らずに皮膚科受診を。
熱中症:
めまい、頭痛、吐き気、倦怠感などの症状がある場合は涼しい場所へ避難し、衣服をゆるめ、体を冷やす。水分、塩分を補給し、ゆっくり休む。
低体温症:
寒い場所で冷たい地面に座る、風にあたる、雨に濡れるなどすると、体温が危険なほど低くなることがある。最初は震えが起きるが、その後ぼんやりする、錯乱状態になるなど意識状態が悪くなり、時にはそのまま命を落とすこともあるので要注意。体温が下がりきる前に温かい飲み物や食べ物をとる、乾いた暖かい衣類に着替える、毛布でくるむなどして体を温める。

 応急処置をしても症状が治まらない、傷が深い、範囲が広い、症状が悪化するような場合は無理せず受診しましょう。意識がないなどの重症時や自分での受診が難しいときは、救急車要請が必要なこともあります。
 また、事故やケガなどで治療や入通院をすることになった場合には、学生総合共済に加入していれば内容に応じて共済金が請求できることがあります。まずは大学生協までご連絡ください。

 花子さんは、先輩に足首をしっかり固定してもらい何とか下山。痛みと腫れがひどいので骨折の可能性も考えて、先輩が救急車を呼んでくれました。足がひどく痛みますが、入院などになったら治療費がどのくらいかかるのかも心配です。共済に加入しているので、電話で相談してみようと思いました。

自分の価値 —メンタル—

 次郎さんは絵を描くことが大好きです。高校の頃は美術の授業で評価されたこともありましたし、人気漫画のイラストを描いたときは、仲間内での評判も上々でした。勉強がうまくいかなくて悩んでいるときも、得意の絵を描いているときは自信が持てました。みんなから褒められるので、絵を描くことは今でも次郎さんの心の支えになっています。
 そんな次郎さんが大学に入って所属したサークルは漫画研究会です。夏のイベントに向けてサークルメンバーで同人誌を作り始めたのですが、どうしても次郎さんの絵が採用されません。一緒にサークルに入ったA君は次郎さんよりもキャッチーな絵を描くため、彼の絵ばかり採用されることになってしまいました。

 「ああ、僕は得意な絵でA君に負けてしまった。僕はなんのとりえもない無価値な人間になってしまったんだ…もう絵を描くことに意味なんてないよ…」
 A君と自分の絵を比べて落ち込んでしまった次郎さん。はたして、次郎さんは価値のない人間なのでしょうか?絵を描くことに意味はないのでしょうか?

 そもそも、人は他人と自分を比べて評価してしまうものです。他人と自分を比べて、自分の劣っている部分を認識して、それを克服しようと努力することが、自分を成長させるきっかけになることもあるでしょう。しかし、人との違いをどう受け止めるかは、自分を苦しめるきっかけにもなってしまいます。例えば、次郎さんが無意識にでも「僕の絵はどんなときでも人より優れていていなければいけない。人は僕の絵を褒めてくれて、僕を満足させないといけないんだ」という考えになっていたらどうでしょうか。きっと、自分より絵がうまい人との出会いは、次郎さんにとって自分のあり方を脅かす脅威となってしまうでしょう。

 精神科医のヴィクトール・E・フランクルは、生きる意味を感じる3つの価値の大切さを語っています。何かを作り上げるという「創造価値」、素晴らしい体験をするときに感じる至高的な「体験価値」、そして、出来事にどう接するかという「態度価値」です。
 次郎さんにとって絵を描くということは、頭の中にあることを形にするという創造的なものでした。そして、その絵を通して友達とコミュニケーションをするという素敵な体験のためのツールでした。これらのことが、次郎さんにとって絵を描くことの意味だったのです。しかし、絵を描くという出来事と接するときに、次郎さんは「僕の絵は人から評価されなければならない」という態度になっていました。これでは、もともとあった創造価値や体験価値が隠されてしまいますね。

 さて、絵を描く意味を見つめなおした次郎さんは、知らず知らずのうちに、絵に対して行き過ぎた考えをしていたことに気づきました。そこで、次郎さんは、A君にキャッチーな絵を描くコツを教わることにしました。絵を描くということが、A君と仲良くなるという体験に結びついたわけです。今回はちょっと悔しい思いをしたけれど、研究会として素敵な同人誌が創造できるといいですね!

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