健康便り

10月の健康便り

気胸ってどんな病気? —健康—

 花子さんは学食で友だち数人とランチを食べていました。おしゃべりを楽しんでいたら、隣に座っていた次郎さんが、急に胸を押さえました。「なんだろう、胸が痛い…。」次郎さんはほっそりスリムで背が高い、花子さんの憧れの人です。苦しそうな次郎さんはそのまま早退してしまいました。「大丈夫かな~」花子さんは心配でたまりません。夕方、次郎さんから仲良しグループにチャットが届きました。痛みが続くので受診したところ、「気胸」だったそうです。気胸ってなんだろう…。

 花子さん、心配ですね。気胸は肺に穴が開き、空気が漏れて肺が小さくなった状態です。気胸にもいくつか種類がありますが、多いのは原因不明の特発性自然気胸です。どんな病気なのでしょうか。

どんな人におこる?
若い世代で、やせ型の背の高い男性に多く起こる。「大学生の病気・ケガ・事故2014年度版」報告書(※)の保険金給付実績によると、精神疾患を除く入院で毎年最も多いのが自然気胸。※全国大学生協共済生活協同組合連合会より
症状は?
突然の胸痛や息切れが主な症状。まれに症状がないのにレントゲン検査などで見つかることもある。
どんな治療をするの?
自覚症状が少なく、気胸の程度が軽い場合は、特に治療は不要。外来でレントゲン検査を行い、経過を見ながら医師の判断に基づき、自宅安静で自然に穴がふさがるのを待つ。痛みや呼吸困難の症状があれば入院する場合も。多くの場合、肺の穴はすぐに閉じて、漏れた空気は自然に吸収される。程度が中等度以上の場合は、入院して胸に管を入れ、肺から漏れ出した空気を体外に排出する。気胸を繰り返す、自然に穴がふさがらず空気の漏れが止まらないといった場合は、手術が行われることがある。薬剤を用いて人工的に炎症をおこし、穴を防ぐ方法などもある。

 幸い次郎さんの症状はそれほどひどくなかったようで、自宅療養することになったそうです。ほっと一安心の花子さん。少し落ち着いたら、読書が趣味の次郎さんのために、何か本を持って友達とお見舞いに行こうと思っています。

読書のすすめ —メンタル—

 先月はアルバイトで忙しかった次郎さん。忙しさがたたってか、体調を崩してしまったようです。胸に痛みを感じたり、息切れしたりすることが多くなり、受診したら、気胸という病気だとのこと。幸いにも深刻な状態ではなく、医者からは、とりあえず自宅で静養するように言われました。

「あー。暇だ…。絵の練習も飽きちゃったし、やることなくなっちゃったなぁ…。そういえば、花子さんがお見舞いに本の差し入れをしたいから、どんな本が好きか教えてねって言われたっけ。連絡しないとな」

 あら、次郎さん。いつの間にか女友達ができたみたいですね。本を差し入れに持ってきてくれるなんて、優しい子じゃないですか。夏も終わり、読書の秋の始まりです。今月は、言葉で紡がれた本の世界について考えてみましょう。

 本の世界は書き言葉の世界です。立ち現れては流れていく話し言葉の世界と違って、書き言葉の世界は、本の中に留まってくれています。そして、本を開くと、いつでもその世界の中に入っていくことができます。さて、本とひと口でいっても、その種類は様々。例えば、小説などは楽しみの要素が多いでしょう。自宅静養をしている次郎さんにとっては、小説を読んで、楽しみながら時間を過ごすのもいいかもしれませんね。
 自分の知識を広げるための本もあります。学校で使う教科書のように、体系的にまとまった知識を覚えるための本です。漫画研究会に入っている次郎さんには、美術についての本が役に立つでしょうか。こうした学問的な知識は、ある程度の普遍性がありますので、覚えれば覚えただけ、同じ学問を志す人たちと世界観を共有することができます。
 こういった覚えて学ぶ本とは逆のスタイルをとるものもあります。同じ美術でも「美術とはなにか」といった、より根源的な分析を試みる本です。いわゆる哲学的な態度で書かれた本ですね。哲学は歴史が長く、難しいのでとっつきにくい分野ではあります。しかし、青年期を生きている次郎さんたちにとって、「~とはなにか」と問い続けることは、とても大切なことです。

 青年期はアイデンティティ獲得の時期とも言われています。アイデンティティとは、簡単に言うと、“自分はこういう者だ”という感覚のことです。大学に入る前は、決まった勉強をそつなくこなしていれば自然と先に進んでいけたかもしれません。しかし、大学では、これからどんな生き方をしたいのか、自ら模索して決めていくことになります。そのためには、「自分とは何者なのだろうか」と、自分自身の在り方を振り返って考えてみることが役立ちます。学校で習う勉強とは毛色が違いますが、哲学の本を頼りに「~とはなにか」という視点から考えを深めてみても良いかもしれませんね。

 さてさて、読みたい本が決まった次郎さん。花子さん宛にメッセージを打ち始めたようです。いったいどんな本をお願いするのでしょうか。

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