健康便り

11月の健康便り

妊娠検査薬で妊娠がわかるわけ —健康—

 花子さんは、せっかく仲良くなった次郎さんとLINE(ライン)のやり取りでぎくしゃくしてしまい落ち込んでいました。いつも悩みを相談しているサークルのD先輩に話してみようかな。でも、そのD先輩の表情がなんだかすっきりしません。「…生理が5日も遅れてるんだ〜」いつも明るいD先輩がぽつり。「妊娠検査薬使ってみた?」「まだ〜」先輩たちのやり取りに花子さんはドギマギ。先輩が妊娠しちゃったらどうしよう、どうして妊娠検査薬で妊娠がわかるのかな。花子さんはいろいろなことを考えて頭の中がグルグルしてしまいました。

 花子さん、びっくりしましたね。女性の体はストレスや体重の減少、不規則な生活などで心身に負担がかかると、月経周期が乱れることがあります。しかし予定日を1週間以上過ぎても月経が来ないとき、もしかすると妊娠の可能性があるかもしれません。妊娠の可能性が否定できない場合、尿で手軽に妊娠しているかどうかを判定できるのが市販の妊娠検査薬です。

 性交後、卵子と精子が受精し子宮内に着床すると、胎盤のもとになる絨毛組織でhCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)という妊娠期特有のホルモンが作られ、尿中に排出されます。妊娠検査薬は尿中にこのhCGが検出されるかを調べる検査薬です。着床するのは受精の後約1週間ですので、性交渉直後に検査しても妊娠したかどうかはわかりません。hCGは月経予定日頃から尿中に排出されますが、検査時期が早いと尿中に排泄される量がまだ十分ではなく、判定が正確に出ない場合があります。一般的には月経予定日の1週間後くらいからの使用が勧められていますので、使用上の注意をよく守って正しく使用しましょう。
 なお、妊娠検査薬は妊娠の早期判定の補助として用いるもので、診断をするものではありません。陽性の場合は必ず産婦人科を受診しましょう。結果が陰性であっても、正しく測れていない、月経予定日を誤って判断していた、などで正しい検査結果が出ていない可能性もあります。月経が遅れて心配なときは産婦人科を受診するようにしましょう。

 1週間後、D先輩はすっかり明るい顔を取り戻していました。他の先輩から「生理、来たらしいよ」ときいた花子さん。ほっと一安心です。次郎さんとのこと、D先輩にいろいろ話を聞いてもらえるといいですね。

SNSとの付き合い方 —メンタル—

 気胸で調子が悪かった次郎さんですが、ずいぶんと体調も回復してきました。お見舞いに来てくれた花子さんとも仲良くなって、スマホのメッセージアプリLINE(ライン)で頻繁にやり取りをする仲になりました。でも、なんだか花子さんとの意思疎通がうまくいきません。なぜか誤解してしまったり、ズレてしまったりと、もどかしいやり取りが続いてしまいます。

 スマホなどを使ったコミュニケーションは、私たちの日常に深く浸透していますので、それらを使わずに生活することは難しいことでしょう。でも、ときにはトラブルの原因にもなってしまいます。そこで、現実世界の成り立ちから、ネットでのコミュニケーションの特徴について吟味してみましょう

 私たちの現実世界は、いくつかの特徴に分けて把握することができます。まず、最も身近な世界は、目で見て、手で触れることができる、直接的な現実の世界です。次郎さんの手元には、花子さんからもらった本があります。この本に触れたときに感じる直接的な疑いのなさは、あらゆる世界体験の基礎となっていると言えます。
 次にこの本の中に広がっている世界があります。先月掘り下げた書き言葉の世界ですね。これは、情報だけによって作られた世界ですので、その現実感は、その内容に確信を抱けるかどうかにかかってきます。例えば、次郎さんの実家の裏には山があり、その山の向こうには街があります。次郎さんはその街に行ったことがありませんが、“街がある”という情報は次郎さんにとって疑いようがないものです。もしもこの確信が揺らぐようなら、次郎さんは山を越えて、本当に街があるのかを確認することができるでしょう。このように、情報の世界では直接的な現実に立ち戻って、その現実感を確かめることができるという特徴があります。
 もうひとつは物語の世界です。この世界は、情報の世界の延長です。人間の持っている推論の能力は大変な力を持っていますので、死後の世界や宇宙の果てについてまで、現実から遊離した物語を生み出すこともできます。物語の世界となってしまうと、隣町に行くように現実感を確かめることは難しいですね。

 さて、ネットを介してのコミュニケーションの特徴についてです。ネットの世界は、まずは情報の世界と言えそうです。情報の世界ということは、推論の能力を使って物語を作り上げることが可能です。もし、現実的な根拠が希薄なまま推論を繰り広げて、現実から遊離した物語を作り上げてしまったら、偏った妄想的な考えに陥ってしまうこともあるでしょう。
 特に、目で見て手で触れる直接的な体験が希薄な場合は、現実から遊離しやすいかもしれません。実は、次郎さんは女の子とお付き合いをしたことがありませんでした。女の子がどんな考え方をして、どんな行動をするのか、想像の中でしかわからなかったのです。これでは現実から遊離した物語に陥りやすくなり、誤解やズレが生まれてしまいますよね。

 LINEでのやり取りにもどかしさを感じた次郎さん。勇気を出して、今度2人でランチをすることを提案してみました。なるほど、直接会って、花子さんことをよく知ろうということですね。初めてのことなのでドキドキだと思いますが、うまくいくといいですね。

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