健康便り

1月の健康便り

体の不調は心から? —健康—

 花子さんの3歳年上のお姉さんが最近とても困っている様子です。「おなかが痛い」とトイレにこもったり、電車に乗ってもトイレに行きたくなって途中で降りてしまったりということもあるみたい。内科を受診して薬も飲んでいるのになかなか治らず…。いつも頑張り屋で、弱音一つはかないお姉さん。最近は忙しさにかまけて、お風呂もシャワーだけで済ませていたとか。卒業後の就職先も決まって、「良かった」って喜んでいたのに、大丈夫かな…。

 花子さん、心配ですね。お姉さんのように病院で治療しても体の不調がなかなか治らない場合、原因はもしかしたら過度なストレスかもしれません。
 心理的な原因によって、特定の器官に限定されて身体症状が現れる疾患を、心身症1)と呼んでいます。疾患は過敏性腸症候群、胃潰瘍、気管支ぜんそく、過換気症候群、高血圧症、狭心症、神経性頻尿、チック、アトピー性皮膚炎、頭痛、不眠症などさまざま。自分の精神的葛藤やストレスや体の不調を、自覚したり、言葉で表現したりするのが苦手な人に多く発症するようです。オーバーワークな環境やストレスフルな状況に過剰に適応していて、本当は辛いのにその意識がほとんどない、元気で悩みがないように見える人は要注意。内側にたまったストレスが、体の症状として出ることがあるかもしれません。

 治療は、本人が体の病気であると思っている場合が多いので、まずは体の治療を行います。内科や皮膚科、整形外科など、症状に応じた専門科を受診しましょう。それでもなかなか治らないようであれば、心のほうから症状を診てもらいましょう。心療内科やメンタルクリニックに相談してみてはいかがでしょうか。体の緊張を自己コントロールする方法を学ぶ、自分の「こころのクセ」に気づいて行動を見直す、などの心理療法を行うことがあります。また、緊張を和らげるなどを目的として抗不安薬や抗うつ薬が処方されることもあります。

 花子さんに勧められて、お姉さんは心療内科に行ってみることにしました。医師と話しているうち、自分が頑張りすぎて疲れをためていたことに少しずつ気づいたようです。忙しいことに変わりはないけど、頑張ったご褒美にのんびりお風呂に入る、時間を決めてテレビを見るなど、リラックスの時間を持つようにしたお姉さん。症状が良くなるといいですね。

1)ホームメディカ 新版 家庭医学大事典 (小学館)より

心のメンテナンス —メンタル—

 新しい年を迎えました。振り返ると、昨年は次郎さんにとっていろいろなことがありました。大学に入学したことはもちろん、新歓コンパに誘われたり、将来のことで不安になったり、バイトを始めて大変だったり…。でも、なんとかやってこられたのには秘密があります。それは、高校のころに担任の先生が教えてくれたひとつの言葉があるからです。

「まぁ、いいか」

 なんだかずいぶんと無責任な響きのする言葉ですね。次郎さんのお父さんなら怒り出してしまいそうですが、この言葉はとても意味のあるものなのです。

 だれしも子どものころには、親や先生から「ちゃんとしなさい」「努力しなさい」「もっとやりなさい」なんて言葉をかけられてきたことと思います。また、だれにでも頑張りたいときや自分を鼓舞したいときに聞く「頑張れ」「負けるな」という歌詞の曲がありますよね。こうした価値観は大切なものですし、だらしなく生活するよりも努力するに越したことはありません。ある意味、社会的な美徳として尊重されているものでもあります。

 このような言葉は、交流分析という心理学の中では「ドライバー」という用語で表現されています。そして、ドライバーは大きく5つあるといわれています。それは、「完全であれ」、「強くあれ」、「努力せよ」、「喜ばせよ」、「急げ」です。ドライバーがあるからこそ、人は自分を駆り立てて、行動に移すことができるわけです。しかし、ドライバーが強くなりすぎてしまったらどうでしょうか。
 例えば、「完全であれ」が強くなりすぎたら、完全でない自分を見つめたときに、きっと許せない気持ちになってしまうことでしょう。「ちゃんとできない自分は最悪だ。意味がない」といった感じです。「急げ」が強すぎる人は、せかせかとせわしなく行動してしまうかもしれません。「努力する」ことは大切ですが、強すぎると、努力していない自分を認められなくなってしまう可能性もあります。
 強くなりすぎたドライバーを弱めてあげる言葉が、次郎さんにとっては「まぁ、いいか」になるわけですね。

 おや、どうやら次郎さんは、レポートが思い通りに仕上がらずに悩んでいるようです。
 「こんなレポートじゃだめだ。もっと努力しないと」と自分を駆り立ててレポートに取り組んできましたが、しんどくなるばかりなので、今回もこの言葉を自分にかけてあげました。「やることはやったんだし、まぁ、いいか。評価が悪かったとしてもそれが僕の実力ってことだ。」ちょっと心が軽くなった次郎さん、レポートは区切りをつけて、さっそく友達と遊びに行く予定を立てたようです。

 頑張ることは大切だけど、頑張りすぎはよくないですね。うまくドライバーを調節して、心のメンテナンスを心がけましょう。

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