2019年4月の健康便り —健康—

健康診断の結果を活用しよう

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 毎年4月は全学年を対象にした健康診断が行われ、そろそろ健診結果が学生の手元に届く時期です。大学の健康管理センターで働く看護師のモモセさんが出勤すると、センターの前を行ったり来たりしている学生がいました。「どうしました?」モモセさんは学生に声をかけました。
 「2年の鈴木です。健診結果の封筒に『病院に行け』みたいな内容の書類が入っていたんです。私、病院に行かなきゃいけない病気ですか?」と、かわいそうなほど不安そうな表情です。モモセさんは立ち話ではいけないと思い、面談室へ案内しました。

 学校で行われる健康診断は、学校保健安全法に基づき実施されます。学生の健康管理はもとより、集団生活における感染性疾患の早期発見と予防のためにも、全ての学生が受ける権利と義務があります。また、教育実習や留学、進学、就職活動、奨学金受給、スポーツ競技など、大学が学生の健康に問題ないことを証明する書類を作成するためにも必要です。

 健康診断の判定表記は健診施設により文言の違いはありますが、問題なし、要観察、要精査(精密検査)、要医療の4段階に分かれることが多いようです。鈴木さんは尿検査の項目で蛋白が出たため、要精査と記載されていました。
 「まだ病気があるかわからないけれど、検査は受けてほしい。ただ、うちのセンターでは健康診断より詳しい検査ができないので、病院などで精密検査を受けてもらうように案内しているの。大学生は、子どもや高齢者に比べて体力もあるし、大きな病気になっていることは少ないけど、自分の体力を過信して予防や健康への意識がおろそかになりがちよね。健診結果では、異常がないことを確認したり、判定からどんな問題が見つかったのか、悪くしないようにするにはどうしたらいいのかを考えたりするチャンスをもらったと思ってほしいな。肥満や低体重のチェック、肺結核などの肺や気管支の病気、心臓の大きさを診る胸部レントゲン検査、高血圧や低血圧を調べる血圧測定、近視、遠視、乱視を確認する視力検査、難聴を確認する聴力検査、医師の診察など、元気に大学生活を送るために必要な検査項目もたくさんあるのよ。」

 鈴木さんは、要精査の結果が即重大な病気であるとは限らないことを知って、少しだけ安心しました。後日、健康管理センターで紹介された病院に精密検査に行き、結果、健診前日のサークル活動で激しい運動をした影響が出ただけで、病気ではないとわかりました。
 結果表を見せに来た鈴木さんに、モモセさんも心から「よかったね」と声をかけました。