2024年5月の健康便り —健康—

気胸ってどんな病気?~やせ型高身長の男性は要注意!~

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 大学2年生の斉藤夢乃さんは、人生で初めての彼氏ができました。相手はダンスサークルの先輩で、すらっと背の高い自慢の彼氏です。その彼が気胸で入院したと連絡があり、とっても心配になった斉藤さん。健康管理センターの看護師モモセさんに、気胸ってどんな病気なのか聞いてみることにしました。

<気胸ってどんな病気?>
 気胸とは、肺を包む胸膜腔の中に空気が入り込むことによって、肺が部分的または完全につぶれてしまう状態です。10代後半から20代前半の、やせ型で身長の高い男性に起こりやすいのが特徴です。自然気胸は肺の上の方にブラという空気のたまった袋ができ、それが破れて肺の表面に穴が開き、肺の空気が胸腔内に漏れることが原因で起こります。
<症状と診断方法>
 息を吸っても肺が広がりにくいため、呼吸が苦しくなります。胸の痛みが生じる場合もあります。肺表面からの空気の漏れがある程度の量になると漏れは止まることが多いので、症状がない場合や軽い不快感程度しかない場合もあります。ただ、空気が漏れ続けると肺がほとんどつぶれて、激しい息切れや心停止を起こす場合もあります。気胸は聴診などの診察と、胸部レントゲン検査やCT検査で胸腔内に空気があることが確認できれば診断がつきます。心配な症状があれば、近くの内科や呼吸器内科を受診しましょう。
<治療について>
 肺があまり縮んでおらず、自覚症状も少ない軽症の場合は、入院せずに安静にして外来への通院で経過を観察します。肺が大きく縮んでいる、安静にしても肺が膨らまないときは入院となり肺の外からチューブを入れて胸腔内の空気を抜く処置をします。手術が必要になることもあります。
 自然気胸は適切な治療をすれば予後は良好ですが、再発しやすいという問題点があります。時には激しい運動を控えるように言われることもあります。大事な試験や就職活動の面接前に再発しては困る場合もあるので、退院後の生活について分からない点があれば医師に相談しましょう。

 「彼はチューブを入れて空気を抜いたと話していました。痛かっただろうなぁ…」と、心配そうな表情の斉藤さん。モモセさんは「処置の時には麻酔をかけるし、肺が元に戻れば退院できるわ。体調がよくなったら私もダンスを踊る彼の姿を見てみたいな」と、斉藤さんを励ましました。