2016年1月の健康便り —メンタル—
新しい年を迎えました。振り返ると、昨年は次郎さんにとっていろいろなことがありました。大学に入学したことはもちろん、新歓コンパに誘われたり、将来のことで不安になったり、バイトを始めて大変だったり…。でも、なんとかやってこられたのには秘密があります。それは、高校のころに担任の先生が教えてくれたひとつの言葉があるからです。
「まぁ、いいか」
なんだかずいぶんと無責任な響きのする言葉ですね。次郎さんのお父さんなら怒り出してしまいそうですが、この言葉はとても意味のあるものなのです。
だれしも子どものころには、親や先生から「ちゃんとしなさい」「努力しなさい」「もっとやりなさい」なんて言葉をかけられてきたことと思います。また、だれにでも頑張りたいときや自分を鼓舞したいときに聞く「頑張れ」「負けるな」という歌詞の曲がありますよね。こうした価値観は大切なものですし、だらしなく生活するよりも努力するに越したことはありません。ある意味、社会的な美徳として尊重されているものでもあります。
このような言葉は、交流分析という心理学の中では「ドライバー」という用語で表現されています。そして、ドライバーは大きく5つあるといわれています。それは、「完全であれ」、「強くあれ」、「努力せよ」、「喜ばせよ」、「急げ」です。ドライバーがあるからこそ、人は自分を駆り立てて、行動に移すことができるわけです。しかし、ドライバーが強くなりすぎてしまったらどうでしょうか。
例えば、「完全であれ」が強くなりすぎたら、完全でない自分を見つめたときに、きっと許せない気持ちになってしまうことでしょう。「ちゃんとできない自分は最悪だ。意味がない」といった感じです。「急げ」が強すぎる人は、せかせかとせわしなく行動してしまうかもしれません。「努力する」ことは大切ですが、強すぎると、努力していない自分を認められなくなってしまう可能性もあります。
強くなりすぎたドライバーを弱めてあげる言葉が、次郎さんにとっては「まぁ、いいか」になるわけですね。
おや、どうやら次郎さんは、レポートが思い通りに仕上がらずに悩んでいるようです。
「こんなレポートじゃだめだ。もっと努力しないと」と自分を駆り立ててレポートに取り組んできましたが、しんどくなるばかりなので、今回もこの言葉を自分にかけてあげました。「やることはやったんだし、まぁ、いいか。評価が悪かったとしてもそれが僕の実力ってことだ。」ちょっと心が軽くなった次郎さん、レポートは区切りをつけて、さっそく友達と遊びに行く予定を立てたようです。
頑張ることは大切だけど、頑張りすぎはよくないですね。うまくドライバーを調節して、心のメンテナンスを心がけましょう。