2017年11月の健康便り —メンタル—

相手に分かりやすいコミュニケーションを試してみよう!

イメージ

 次郎さんはこれまでに何社かのインターンシップに参加しました。どの企業でも参加者同士のグループディスカッションの時間がありました。企業側からすればグループディスカッションを通して、その人の「協調性」や「役割の自覚」、「リーダーシップ」などを観察、評価しているのでしょう。普段から初対面の人とのコミュニケーションが苦手な次郎さんとしては、特に緊張するプログラムでもあります。

 その日、次郎さんが入ったのは男子3人、女子1人のグループでした。はじめに司会役や記録係を決めるように指示されたので、誰がやるかを話し合っていると、浅田君という男子学生が「この部署ってどんな仕事をするんだろうね!」と、配布された資料を広げだしました。それはディスカッションのテーマとは全く関係ない資料でしたが、浅田君は自分勝手に話を進めていきます。次郎さんも他の2人の学生も話を元に戻そうとしますが、浅田君はおかまいなしに脱線していき、グループの雰囲気もイライラ、うんざりし始めました。

 次郎さんは浅田君の様子を見ながら、以前、大学のキャリアセミナーで聞いた「コミュニケーションの特徴」の話を思い出しました。人間関係でトラブルを抱えやすい人には「相手の気持ちがつかめない、場にあった行動がとれない」「言葉の使い方を誤り、会話がつながらない」「興味や行動にこだわりがある」といった特徴があるということ。そのような人には、「視覚的な情報を提示して説明する」「説明や指示は短い文で、順を追って、具体的にする」「できないことを一方的に責めず、どうすればもっとよくなるかを肯定的に伝える」などが効果的だという話でした。

 次郎さんは自分のノートに【役割を決める→司会・記録係】と書いて、浅田君に見せながら説明しました。浅田君はノートを見ると納得して静かになりました。次郎さんは記録係をしながら、みんなの発言を分かりやすく短い文章にしたり、矢印や図を書いたりして、浅田君に見せながらディスカッションを進めました。時々、脱線しながらも何とか時間内で、提出できる内容にまとめることができました。

 「グループディスカッションではいつもメンバーに怒られたり、相手されなかったりしたけど、今日はみんなのおかげで楽しかったです。ありがとう」と、浅田君が頭をさげたのを見て、メンバー全員うれしい気持ちになりました。相手のコミュニケーションの特徴に気を付けながら対応すると、お互いにより良いコミュニケーションがとれることを実感した次郎さんでした。