2018年4月の健康便り —メンタル—

それぞれの将来の選択肢

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 「暑いな…」リクルートスーツ姿の次郎さんは、思わずつぶやきました。今日は合同企業説明会の日です。以前から気になっていた会社も参加すると知り、直接話が聞ける良い機会だからと参加した次郎さん。しかし会場に着くと、あまりの人の多さにがく然としました。お目当ての企業ブースまで辿り着くのも一苦労。何とか話を聞くことはできたものの、すでに疲労感でいっぱいです。

 よう、次郎。お前も来ていたのか」声がした方向を見ると、そこには疲れた表情の友人尾崎君がいました。「ちょっと休憩しよう」2人は外の木陰に一旦避難することにしました。「尾崎君どう? 何か収穫あった?」次郎さんが尋ねると、「いやぁ…周りの熱気に押されてさ、苦戦中だよ」と苦笑いする尾崎君。なかなか思うようにはいかないようです。

 「次郎、聞いたか。宮田君は来週から1年間カナダに留学するらしいよ」「あぁ、聞いたよ。すごいよな」宮田君は以前から海外に興味があり、休みのたびにあちらこちらと旅行に行っては皆にお土産を買ってきてくれていました。「就職したら1年なんて休みは取れないから、行くなら今しかないって決断したらしいぜ」と尾崎君。「そうか…、皆いろいろ考えているんだな」

 大学生活4年目ともなると、次郎さんの周りでも様々な道を選ぶ人が増えてきました。アルバイト先でそのまま社員になる人、音楽に打ち込むあまり、ほとんど学校に来ていない人、ゼミ仲間の中には、「起業する」と言って大学を辞めた人もいます。大学には4年間通って、卒業したら就職するのが当たり前だと思っていた次郎さんは、ふと聞いてみたくなりました。「ねぇ、尾崎君は就職以外の道って考えたことある?」「いや、ないよ。そもそもやりたいことが明確にあるわけじゃないからさ。俺は仕事をしながら、やりたいことや、自分に向いていることを見つけていきたいと思っているんだ」

 子どもの頃からの夢を形にする人もいれば、学生のうちにやりたいことが見つかり別の道を歩む人ももちろんいます。しかし多くの学生は、尾崎君のように、将来についてまだ明確には決まっていないものです。自分は何に興味があるのだろう、どんな仕事が向いているのだろう、やりたいことって何だろう…、悩みながらも自分なりの答えを見つけていく。就職活動はその答えを見つけるためのひとつのスタートラインなのかもしれません。

 自分も尾崎君と同じ考えだと改めて確認できた次郎さん。「よしっ、そうと決まれば、こんなところでグズグズしていても仕方がない。まずは今できることをやろう」休憩したことで元気を取り戻した2人は立ち上がり、再び会場へと向かいました。