2019年4月の健康便り —メンタル—

アルハラって知っていますか

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 「センター通信にアルハラのことも入れてもらえますか?」と、学生課の富田課長から「学生アンケート」の束を渡されたのは、今年度から健康管理センターで心理相談を担当するキムラさんです。

 健康管理センターにはこの大学に通う学生やその家族、教職員たちの「こころの相談」を受ける心理カウンセラーと、「からだの相談」を受ける看護師が常駐しています。キムラさんと看護師は毎月メールマガジン「健康管理センター通信」で、こころやからだの健康に関するワンポイントアドバイスを配信しているのです。

 アンケート用紙をめくりながら、「確かに上級生から一気飲みを迫られたり、酔っ払ってケンカになったりすることが多いみたいね。どんな行為がアルハラになるのか、学生たちにも理解してもらわなくちゃ」と、キムラさんはセンター通信の内容を考え始めました。

 アルハラ、すなわちアルコールハラスメントとは、お酒の席での嫌がらせや酩酊状態に陥った者が行うさまざまな迷惑行為などのことで、具体的には次のような行為をさします。

 こうした行為は「人権侵害」であり、エスカレートすると命の危険を招く恐れがあります。毎年、急性アルコール中毒で救急搬送される大学生も少なくありません。

 大学では特に新学期、新入生歓迎会やゼミの花見など宴席で、上級生から下級生に対してアルハラが起こりやすいのです。上級生から飲酒を勧められたら、下級生は断りづらいものです。ですから、下級生はもちろんのこと、友人同士であっても「決して無理に飲ませない」ことが鉄則です。そして下級生も「飲めない」理由をはっきり伝えましょう。
 お酒を断ることは悪いことではありません。自分を守るために必要なことなのです。20歳未満は「未成年なので飲めない」のは当然ですが、それでも強要される、もしくは20歳を過ぎても飲みたくないなら、「体調が悪い」「薬を飲んでしまった」「医者に止められている」といった口実も効果があります。
 嘘をつくことを勧めているのではなく、アルハラを受けないためにはお酒を「飲めない」理由を相手に理解してもらうことが大切なのです。一人で言いにくい場合は、下級生同士で協力して、上級生や幹事に予め伝えておくのもよいでしょう。

 「ここで断ったら、先輩や友達との人間関係が悪くなるんじゃないって心配もあるだろうなぁ。そんな時には、“相談室を利用してください”って書いておこう」と言いながら、原稿の準備にとりかかるキムラさんでした。