2020年8月の健康便り —健康—

虫刺されによる肌トラブルを防ごう

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 「今年の夏は感染症が怖いからあまり出かけたくないけど、服だけは夏っぽくしたいな。でも毎年蚊に刺されてすごく腫れるから、せっかく買ったスカートはけないかな。肌が弱いから虫よけも使えないし、今年もジーンズで過ごすしかないのか…」2年生の小森綾香さんは新しい夏物のスカートを眺めながら呟きました。小森さんは、健康管理センターのモモセさんに電話で相談してみることにしました。「せっかくスカートを買ったのに、それは残念ね」モモセさんは虫刺されの対処法について教えてくれました。

 夏は蚊などの虫刺されによる肌トラブルが多くなる時期です。でも、初期の対応次第で症状を軽くすることは可能です。一口に虫刺されといっても虫や症状は様々。蚊やブユ、アブ、ノミなどの血を吸う虫、ハチに代表される刺す虫、クモやムカデなどの咬む虫などです。
 日本には、人の生命を脅かすほどの猛毒を持つ虫はほとんどいませんが、刺された後にアレルギー反応が起き(アナフィラキシー)、全身に蕁麻疹が出る、呼吸が苦しくなるなどといった命に係わる症状がでることもあります。そのような強い症状は刺された後30分以内に起こることが多く、救急受診が必要です。
 虫刺され予防には、虫よけを使う、草木が多い場所は避ける、長袖長ズボンを着用するなどの対策があります。虫よけは置き型のものや、肌につけるスプレー、ミスト、ジェルタイプなどが一般的です。最近は赤ちゃんも使える低刺激のものや、ブレスレット、シールタイプなど種類が豊富です。虫よけ剤にはディート、イカリジン、エチルアルコール、シトロネラールなどの成分が含まれます。イカリジンは肌に優しく子どもにも使える成分と言われています。体質やシチュエーションに合わせて、自分にあった虫よけを選んでみましょう。
 蚊などの虫に刺されたら、まずは刺された場所を流水で洗い流します。ハチや毛虫などに刺され、針が皮膚に残っているようなら、まずはセロハンテープや毛抜きなどで針を取り除き、その後流水で刺された場所を洗い流し、家庭にある虫刺され用の薬を塗ります。腫れやかゆみが強い場合は保冷材などでよく冷やします。入浴や飲酒、運動は体が温まり、かゆみが増すので控えたほうがよいでしょう。マダニに噛まれ、肌にマダニが付いている場合は、無理に取らずそのまま皮膚科を受診しましょう。ひどく腫れ上がるなど症状が強い場合は無理せず皮膚科へ相談しましょう。

 「肌が弱いのなら、かかりつけの皮膚科があると安心よ」とモモセさん。「そうですね。皮膚科で虫よけのことを相談してみます。虫よけが使えれば、虫を気にせずスカートがはけるかもしれませんね。今年は夏の気分を味わえるかも!」と、小森さんは電話口から元気な声を聞かせてくれました。