2021年1月の健康便り —メンタル—
「この頃、対面授業も増えてきて嬉しいんですけど、友達とのコロナの感染予防に対する意識とか、危機感とかが違って、自分だけ孤立しているみたいな気がするんです。みんなは“マスクしていれば大丈夫でしょ?”って言うんですけど、やっぱり怖いんです」と、不安な表情で話すのは、1年生の堺真美さんです。堺さんはお正月も高齢の祖父母がいる北海道の実家へは、帰省しませんでした。手洗いやうがいもこまめにして、除菌シートをいつも持ち歩き、三密を避けて細心の注意を払って生活しています。だからこそ、友達にカラオケや食事に誘われるたびに、どうやって断ったらいいのか分からなくて、夜も眠れないほど悩んでいると言うのです。
堺さんの感染予防対策は間違っていませんし、友達の方が見習うべきところが多いと思います。ただ、彼女の悩みは、自分と違った考えや価値観をもっている人に、自分の不安な気持ちをどうやって伝えるか、ということです。「お友達にコロナの感染が怖くて、不安でいっぱいだ、という自分の気持ちを伝えたことがありますか?」とキムラさんは質問しました。堺さんは首を横に振り、はっきり言えないまま、何度か我慢しながらカラオケに行ったことがある、帰ってきてからすごい自己嫌悪に陥った、と答えてくれました。
キムラさんは「じゃあその時、堺さんの気持ちとか、お友達に言いたかったこととか、その理由を書き出してみましょうか?」と促しました。カラオケに誘われた時、一瞬、嬉しかった。でもコロナに感染したら怖いから、今は行きたくないと思った。
行きたくない理由は、
①カラオケは換気が不十分なスペースだから
②大声を出して歌うと飛沫が飛ぶから
③自分だけじゃなくて誰かがコロナになったら悲しい
④不安な気持ちのままでは楽しくないから
ということでした。
そして、書き出したことを実際、友達に言うセリフのように書き換えてみました。
「カラオケに誘ってもらった時、ちょっと嬉しかったよ。でもコロナに感染したら怖いから、今は行きたくないと思った。だって、カラオケは換気が不十分だし、大声を出して歌うと、飛沫が飛ぶでしょう?誰かがコロナになったら悲しいよ。そんな不安な気持ちのままでは、楽しくないと思ったんだよ」これにキムラさんが、「だから、安心して楽しめるようになったら、また誘ってほしいなー」という一文を加えました。堺さんは出来上がったメッセージを読んで「これなら断るっていうよりも、自分の言いたいことが友達にも分かってもらいやすいかも。今度はこんなふうに言ってみます」とホッとしたようでした。
悩みを抱えた時、その時の自分の気持ちや考えを書き出してみると、ぐちゃぐちゃになった頭や心の中が整理しやすくなります。誰でも言いたいことが言えなかったり、他人に押し付けられたりしたことは、後悔として残ってしまうものです。その時はきちんと伝えられなくても、こんなふうにメッセージとして書き出してみると意外とすっきりするものです。1年近く続いているコロナ禍の中で、ストレスを抱えることも多くなっています。こんな時だからこそ、心を軽くするメッセージを自分で作ってみましょう。