2012年6月の健康便り —メンタル—

一人の時間のすごし方

梅熟す季節の雨は体にまとわりつき、外に出かけるのも億劫な日々。自宅で一人すごす時間も多くなるのではないでしょうか。そんな日は、みなさんどうしていますか。

美味しいお茶を入れてまったりする、趣味にいそしむ、寝グセのまま好きな映画を見るなど、一人の時間を楽しめる人っていますよね。
でも一人でいると悪い考えが浮かんでくつろげないという方もいませんか。常に何かしていないと暇を持て余してしまうとか、友達と一緒でないと不安になるとか、一人の時間をうまく使えない方もいるのではないでしょうか。

イギリスの精神分析家ウィニコットは「一人でいられる能力」が大事だと言いました。この能力が発達している人は、一人でくつろぐことや孤独を楽しむことができるといいます。どういうことでしょうか。
たとえば、一人遊びを楽しんでいる赤ちゃんを、お母さんが見守っているところを想像してください。赤ちゃんは遊びに夢中でお母さんのことなど忘れているようです。ですが、お母さんがいなくなると急に不安になって一人で遊べなくなってしまいます。赤ちゃんはお母さんに守られていることを無意識のうちに感じているので、安心して一人遊びに没頭できるのです。

もちろん私たちが一人になるとき、近くに母親が居るわけではありません。しかし自分は大丈夫だという心の余裕を無意識のうちに感じているとき、安心して一人の時間を楽しむことができるのではないでしょうか。そのときは「今、安心だ」と意識したりしませんが、その余裕がない日が続くと「最近、気疲れするな」という形で気づくものです。

その余裕がないとき、私たちは一人でいても、来週のゼミ発表のことで気を揉んだり、自分だけ遊び相手がいないんじゃないかと不安になったり、一人の時間を有意義にすごそうと躍起になって空回りしたりするのでしょう。

暇つぶし上手は、暇活かし上手。ベランダを灰色に染める霧雨の日も、家の中では豊かな時間をすごせるといいですね。