2012年8月の健康便り —健康—

熱中症と水分補給

イメージ

夏休みに入り活動的な季節になってきました。しかし、この時期気をつけなければいけないのが熱中症。学生生活無料健康相談テレホンには「外から帰ってきたら頭痛がしてきた。熱中症では?」などの相談が毎年寄せられています。

熱中症は予防すれば防ぐことができます。日陰などを利用して暑さを避ける、薄着で風通しのよい服装をする、こまめに水分を補給するなどはよく知られている予防法ですね。
この水分ですが、水分補給にはどのようなものが適しているか皆さんご存知ですか?
気温が30℃以上ある時、人は主に汗で体温を調節しています。汗をかくことで体表の水分蒸発を盛んにして体内の熱を体外に放出し、体温を調節しているのです。このとき汗をなめるとしょっぱいことからもわかるように、汗をかくと体からは水分だけでなく塩分も失われます。ですから一口に水分補給といいますが、水だけで水分補給をするのはあまり適切とはいえないのです。人の体は体内環境を一定に保とうとする働きがあり、塩分濃度が薄まるとそれを元に戻そうとします。水だけを大量に摂取するとそれ以上水分摂取をしないようにのどの渇きが治まったり、尿をたくさん出したりして体内の塩分濃度を一定に保とうとするのです。これを「自発的脱水」といいます。この状態では体に十分な水分を補給することができません。そのため、体液の塩分濃度が低くならないよう水分と同時に塩分を補給することが重要になります。もちろん日常生活では食事などでも塩分を摂取しているので水だけでも構いません。でも、知らず知らずのうちにじわじわと汗をかいている暑い日や運動などで大量に汗をかいているときには、「自発的脱水」とならないために水分と合わせて塩分もしっかり摂った方がよいでしょう。

一般的に効率よく塩分や水分を補給するためには、0.1%~0.2%の塩分濃度で少量の糖分が含まれている飲料が好ましいとされています。自分で作るなら1Lの水にティースプーン半分(約2g)の食塩と砂糖を大さじで数杯。好みでレモンやグレープフルーツの果汁、トマトジュースなどで風味をつけても飲みやすいですね。運動時はエネルギー補給のため砂糖は多めにするとよいでしょう。市販のイオン飲料水は糖分が高いものも多く運動時にはお手軽です。発汗による脱水状態を起こした場合には「経口補水液」といって、失われた水分や電解質(塩分)を速やかに補給するものがあります。ドラッグストアや調剤薬局、スーパーなどでも販売されていますので、いざというときのために機会があれば見ておくといいですね。

軽い脱水症状の時にはのどの渇きは感じません。のどが渇いてからではなく、のどが渇く前や暑いところへ出る前に意識的に水分を摂るのがお勧めです。こまめに水分と塩分を補給して暑い夏を上手に乗り切りましょう。