2013年11月の健康便り —健康—

ウイルス性胃腸炎にかかったら

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 年末に向かって忙しくなるこれからのシーズン。寒さや乾燥に加え、疲労などで体力が落ちてくるとさまざまな病気にかかりやすくなります。その中でも下痢や吐き気、嘔吐を伴うウイルス性胃腸炎は冬場に流行する代表的な感染症です。学生生活無料健康相談テレホンには、「受診後吐き気止めを飲んだが、吐き気がおさまらない。どうしたらよいか」「下痢が続くが下痢止めを使ったほうがよいか」などといった相談が入ります。

 ウイルス性胃腸炎はロタウイルスやノロウイルス、アデノウイルスなどのウイルスが原因となる胃腸炎の総称です。原因ウイルスにより流行時期が異なるため1年を通して見られます。冬の季節に多いのはノロウイルスやロタウイルスで、感染力が強く流行しやすいので有名です。ウイルス性胃腸炎は症状のある期間が比較的短く、特別な治療法がないことから、診断には、時間のかかるウイルス検査は行わず流行状況や症状から判断されることもあります。

 一般的な症状は、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛が主で、発熱などが見られることもあります。ノロウイルスを原因とする場合、症状は1~2日と短期間のことが多く、ロタウイルスを原因とする場合は5~6日症状が続くこともあります。ウイルスが原因の胃腸炎の場合、特効薬はなく、治療の中心は吐き気止めや整腸剤などによる対症療法が一般的。下痢止めはウイルスの排出が遅れ、回復に時間がかかることがあるので、使用には注意が必要です。家庭での対応で症状がおさまることもありますが、血便が出る、吐き気がおさまらず水分が取れないなど、症状がひどい場合は無理せず受診しましょう。 

 家庭での対処では水分補給が大切です。しかし、吐いた直後は胃腸を休ませるため何も口にしないようにしましょう。吐き気が落ち着いてきたら水分をティースプーンで少量ずつ飲むようにします。ペットボトルやストローなどでごくごく飲んでしまうと、刺激で吐きやすくなるので、少しずつ回数を分けて飲むのがポイントです。嘔吐や下痢で体内の塩分も出てしまっているので、イオン飲料やみそ汁、スープなどの摂取がお勧めです。冷たい飲み物は胃を刺激するので、常温か少し温かいもののほうがよいでしょう。糖分が多い炭酸飲料やジュースなどは下痢を悪化させることがあるので注意が必要です。

 食事は、吐き気が落ち着いたらとるようにします。ごはんやうどんなどの炭水化物、豆腐や白身魚など脂肪の少ないたんぱく質、繊維質の少ない大根やかぶなど、消化のよいものをバランスよくとるようにしましょう。芋やかぼちゃといった体内でガスが発生するもの、油分の多い揚げもの、辛いもの、冷たいもの、カフェイン、アルコールなどの刺激物は避けてください。

 感染してしまうと非常につらいウイルス性胃腸炎。予防は手洗いが第一です。トイレの後や調理、食事の前などにはしっかり手を洗うように心がけましょう。人とタオルを共用しないことも感染を防ぐコツです。