2014年3月の健康便り —健康—
3月3日は耳の日です。みなさん、耳の聞こえはいかがですか。
難聴と聞くと高齢者の症状というイメージがありますが、実は若い人にも起こります。学生生活無料健康相談テレホンでは、「耳鳴りがする。音楽を聴きすぎたせいか」「朝起きたら急に片耳の聞こえが悪くなっていた。受診したほうがよいか」といった相談が入ります。
耳は大きく外耳、中耳、内耳に分けられます。音は耳の外側部分の耳介で集められ、外耳道を通って鼓膜に伝わります。鼓膜に伝わった音の振動は、その奥の中耳にある耳小骨で増幅されて内耳に伝わります。そして、内耳で電気信号に変換され、神経から脳に伝わります。難聴はこの流れのどこかに障害がおこることで生じます。
耳垢の詰まりや慢性中耳炎など、外耳や中耳の問題で起こる難聴を伝音性難聴、内耳から脳までの問題で起こる難聴を感音性難聴といいます。伝音性難聴は原因の病気を治療すれば比較的治りやすいのですが、感音性難聴は原因がわからないことも多く、放置しておくと聴力が戻らなくなることもあります。若い人にもおこりやすい感音性難聴には次のようなものがあります。
[突発性難聴]
明らかな原因がなく、急に難聴が起こる病気です。通常は片方の耳が聞こえなくなることが多く、耳鳴り、耳閉感、めまい、吐き気などを伴うこともあります。原因はウイルス感染説、内耳循環障害説が有力とされており、一般的にはステロイドや循環改善薬、血管拡張薬などが使用されます。症状が急激に出ているときは安静が必要です。自然治癒することもありますが、治療開始が遅れるほど治りは悪くなります。
[騒音性難聴]
くり返し耳が騒音にさらされ、聞こえが悪くなる難聴を騒音性難聴といいます。内耳の感覚細胞が音で傷つけられることが原因です。急に聴力が低下した場合は、静かな場所で耳を休めたり、服薬や注射をしたりすることで治る場合もあります。ただし、内耳の感覚細胞は再生しないので、徐々に聞こえが悪くなった場合、聴力の回復は困難です。そのため、予防が大切になります。イヤホンやヘッドホンで音楽などを聞いている人は多いと思いますが、騒音の多いところでは必要以上に音量を大きくしがちなため、イヤホンやヘッドホンは使用しない、長時間使用しない、過労や睡眠不足の時は大音量での使用は避ける、使用中に耳鳴りやめまいを感じたら使用をやめるなどしましょう。
聞こえの悪さや耳鳴りなどの症状に気づいたら、できるだけ早く耳鼻科を受診しましょう。耳の日を機会に、自分の生活習慣を振り返り、耳をいたわってあげてください。