2015年2月の健康便り —メンタル—

適度な依存とは

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 何かにはまって夢中になることは誰にでもあることです。恋愛、ゲーム、お酒、ギャンブル…。大学生になると自由な時間が増え、趣味や嗜好の幅が広がるので、気付いたら何かにどっぷりはまっていた、という人もいることでしょう。
 しかし、息抜きや気分転換のレベルではなく、そこに固執しすぎて依存状態に陥ると、生活習慣や人間関係、自身の情緒などが不安定になってしまいます。
 彼氏と少しでも会えないと不安になる、ゲームにのめりこんで昼夜逆転生活になる、アルコールの力を借りないと眠れない、生活費のほとんどをパチンコ代に費やす…。このように現実生活に影響が出てきた時は、「依存状態」を示す危険信号です。

 では、夢中になった対象に対して「ほどほどで切り換えられる人」と「依存状態になるまではまってしまう人」の違いはどこにあるのでしょうか。
 それは「心の状態」が大きく影響しているといえます。

 このような「心が常に落ち着かない状態」にあると、何かに寄りかかることで安心感を得ようとしてしまうことがあります。
 強く依存してしまうのは、必ずしも「自分が弱い」からではありません。何かを頑張りすぎた分、気持ちのバランスが取れなくなって、違う何かで気を紛らわさずにはいられなくなった結果かもしれません。

 そのため、一般的にカウンセリングでは、依存することで自分は何から救われたかったのか、依存行動の裏にある心のSOSは何なのか、という気づきを大切にしながら話し合っていきます。そのSOSは、家族に理解してもらえない寂しさかもしれません。人間関係での不安やストレスかもしれません。自分のコンプレックスを受け入れられずに紛らわそうとしているのかもしれません。
 そして、このような「心の状態」を認めた上で、依存対象から距離を置く方法を一緒に考えていきます。例えば、夜○時以降はゲームをしないよう他の趣味を見つける、パチンコに費やすつもりだったお金を貯めて友達との旅行にあてる、など、その人その人に合った「心の状態」との付き合い方を見つけていくのです。

 人は、何にも頼らず、誰とも関わらずに生きていくことはできません。自立して生活していくためには、ほどよい依存は不可欠です。
 時には普段の自分の行動を振り返ってみて、自分は何に依存しているのか、どんな気持ちの時に依存したくなるのか、と意識してみてもいいかもしれませんね。「心の状態」を保つための方法を1つの行動に固定させない。これは、依存度を強めないための予防策にもなります。
 自分の依存心を自覚しながら、気分転換や趣味として活かせるような「適度な依存対象(拠り所)」を見つけていきましょう。