2015年4月の健康便り —メンタル—

「ぼっち」も案外悪くない!?

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 今、「ぼっち」という言葉が若者の間で浸透しています。「ぼっち」とは、インターネット掲示板発祥の言葉で、‘ひとりぼっち’の略語だそうです。

 この春から大学生という人の中には、「ぼっちになったらどうしよう…」と不安を感じている方もいるかもしれませんね。入学後間もない時期は、受講システムや大学生活の過ごし方など、慣れないことも多く、「とりあえず、何かサークルに入らなければ…」、「誰かと一緒の時間割にしないと…」と、周りに合わせるばかりで自分の興味が二の次になってしまうこともあるのではないでしょうか。

 一緒に食事をする相手(ランチメイト)がいないことに一種の恐怖を覚える「ランチメイト症候群」や、学食での「ぼっち飯」を周りに見られたくないために、お弁当をトイレに持ち込んで一人で食べる「便所飯」という現象も起こりました。

 しかし、多くの学生が「ぼっち」になることをそこまで恐れるのはなぜでしょうか。大学で「ぼっち」で過ごすのはつらいけど、自宅や街中であれば一人で食事をするのも気にならない、という人もいると思います。つまり、「ぼっちになりたくない」と強く不安になる人は、「周りからぼっちと思われるのが嫌」という気持ちが強いのかもしれませんね。

 そもそも大学は、自分が目指す学問を自分の意思で学びに行く場です。「大人」として扱われる部分も増えるため、一人で食事をする、一人で授業を受ける、空き時間を一人で過ごす、といった行動も決して不自然なことではありません。いつも他人に合わせてばかりで、自分が本当は何をしたいのかを見失ってしまう時には、むしろ一人で行動する方が有意義に過ごせる場合もあります。一人で過ごす時間は、決して恥ずかしいものでも、無駄なものでもありません。

 もちろん、大学生活は仲間とのコミュニケーションを学ぶ場、という考え方もありますし、人付き合いの中で周りに合わせることを覚えるのも大切です。ここでお伝えしたいのは、「ぼっち=最悪の事態」と決まっているわけではない、ということです。「ぼっち」を深刻に受け止めすぎて、周りに馴染めない自分を責めたり、大学を辞めたりする必要はないのです。

 「誰かと一緒にいないと不安だ」、「ぼっちになるなんて恥ずかしい」など、「ぼっち」をネガティブにしか考えられない…。そんな人は、平日のすいたコーヒーショップ、図書館、映画館などに行き、一人でぼんやりと息抜きする時間、ものごとをじっくり考える時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。自分だけの「ぼっち時間」を贅沢に味わってみると、「ぼっちも悪くないかも」と思えるかもしれませんよ。