健康便り

2016年8月の健康便り —メンタル—

計画された偶発性理論とは

 先日、次郎さんは花子さんに誘われて、大学のラグビー部の試合を観に行きました。その試合で4年生の先輩が、相手チームの選手と接触して大ケガを負ってしまったのです。すでに企業から内定をもらっている先輩ですが、今後に影響が出るのではないかと花子さんも心配していました。そんな出来事もあって、次郎さんは最近、大学内にある「キャリア就職センター」が気になっています。まだ2年生の自分には関係ない場所、と思いながら素通りしていましたが、どんなところか見学してみようと思い、今日はやってきました。

 入口で職員に促されるまま、相談シートに学年や氏名、相談内容を記入すると、パーテーションで仕切られた席に案内されました。するとそこにいた女性が「こんにちは、キャリアコンサルタントのHと申します」と笑顔で挨拶してくれました。次郎さんは緊張しながら、キャリア就職センターがどんなところなのか興味があることを伝えました。Hさんは「2年生なのに、興味をもってくれて嬉しいです」とニコニコしながらセンター内の掲示物や就職関係の本、企業資料などについて説明してくれました。
 席に戻った次郎さんは、早速「キャリアビジョンって、どうやって描けばいいんですか?」とHさんに質問してみました。時々、自分の将来について考えてみることはありますが、具体的なことが何ひとつ浮かんできません。夢や理想も漠然としていて、何がしたいのかさえ見当がつかず、考えれば考えるほど落ち込んでいたのです。

 そんな次郎さんにHさんは、スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授の「計画された偶発性理論(プランドハップンスタンスセオリー)」というキャリア理論の話をしてくれました。クランボルツ教授は「個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定されるものであり、その偶然を計画的に設計して自分のキャリアを良いものにしていこう」というポジティブな考え方を提唱しました。そして、計画された偶発性理論を実践するために必要な行動指針として、次の5つを掲げています。

  • 1.「好奇心」:たえず新しい学習の機会を模索し続けること
  • 2.「持続性」:失敗に屈せず、努力し続けること
  • 3.「楽観性」:新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考えること
  • 4.「柔軟性」:こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること
  • 5.「冒険心」:結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと

 「偶然を計画的に設計することができるなんて、夢みたいな話だけどちょっとワクワクしませんか? 今の次郎さんは新しいことを恐れずに、失敗してもめげないで、とりあえず行動してみる! という姿勢で大学生活を有意義に過ごせばいいと思いますよ」とHさんに言われて、少し気持ちが楽になりました。“好奇心は人一倍あるぞ、目の前のことに取り組めばいいならできそうだ!
 ひょっとして、今日ここに来たのも計画された偶然だったのかな?”と不思議な気持ちになった次郎さんでした。