2017年5月の健康便り —メンタル—

自分の知らない自分に気づく

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 「就職活動は3年生の夏から始まるって、マジか…」と、キャリア就職センターの説明会で渡された就活スケジュールを見ながらため息をつく次郎さん。「3年生の6月から2月までの期間が就活に大きな影響を与えるインターンシップを経験できる時期です!自己分析は早めにしておいてください」というセンター長の言葉が耳に残りました。

 企業が採用試験で重視しているのは、「人柄」「企業への熱意」「今後の可能性」の3項目と言われています。つまり、この学生はどのような人物なのか? なぜこの会社に入りたいのか? この会社でどんなふうに活躍できるのか? を知りたいのです。この問いかけにしっかり答えていくために“自己分析"が必要になるのです。そのやり方は、過去の経験を振り返る、他者からのフィードバック、アセスメント(適性検査・性格検査等)、キャリアカウンセリングを受ける等、さまざまな方法があると説明されました。

 自分はどういう人間なのか…と、考え始めた次郎さんは、思いつくままに自分について書き出してみました。穏やかな性格、けんかや面倒なことが嫌い、小心者、楽に生きたい、他人に干渉しない、優柔不断、ゲームの時は集中力が高い、片付けが下手、やや神経質、計画性がない…。「あれ、これじゃ良いところが全然ないじゃないか? ちょっと待てよ、僕って一体、どんな人間なんだ!?」と頭を抱えてしまいました。

 「これって自己分析? えっ? 君は結構、他人に干渉しているよ。干渉っていうか、わりと世話好きで面倒見が良い方だと思うなぁ」とゼミ仲間の秋山君が、次郎さんのノートののぞき込みながら言いました。秋山君から見た次郎さんは、一見穏やかだけど頑固、他人の意見や周りの状況を把握してから、自分の考えを発言する慎重派、ちょっと天然、負けず嫌い、とのことでした。自分が思っているより高く評価されている面もあれば、そんなことないけどなぁ、と疑問に感じる面もありました。自分が知っている自分と、他人が見ている自分との違いに驚いて、次郎さんはますます自分のことが分からなくなってしまいました。

 人には自分が知っている“自分の特徴"と、他人が知っている“自分の特徴"があり、次の4つのパターンに分類できます。

  1. 自分も他人も知っている自分
  2. 自分は気づいていないが、他人は知っている自分
  3. 自分は知っているが、他人は気づいていない自分
  4. 誰からもまだ知られていない自分

 このように分類することで自分と他人の認識の違いに気づき、その違いは強み(アピールポイント)にもなれば、改善すべき弱点にもなるのです。他人の意見を取り入れる自己分析を“他己(たこ)分析"といいますが、他者からのフィードバックによって、自分では気づかなかった新しい自分を発見することもできるのです。次郎さんと秋山君は他己分析し合うことで、これから“自分の知らない自分"をどんどん発見していくことでしょう。