2017年6月の健康便り —メンタル—

メンタル不調のサイン

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 「おい、次郎元気か」
 次郎さんに向かって教科書を片手に手を振るのは友人の根本君です。彼は自分の学費や生活費をアルバイトで賄う勤労学生です。今朝も図書館で勉強している姿を次郎さんは見ていました。
 「今朝、図書館で見かけたよ。根本君、朝から頑張ってたね。元気そうで安心したよ」
 「そうだね、ホント、次郎のおかげだよ」と笑顔で答える根本君ですが、実は、以前、アルバイトで大変な目にあっていたのです。

 ある日、休み時間に根本君を見かけた次郎さんは声をかけました。
 「おはよう、なんだか疲れてるみたいだね。どうしたの」
 「実は新しく居酒屋でアルバイトを始めたんだけど、前からやっている塾講師の仕事との掛け持ちでいろいろ大変でさ」
 確かに、去年までの根本君と比べると頬もこけ、元気がないように見えます。
 「新しいアルバイト大変そうだね」次郎さんが尋ねると、根本君がため息交じりに話し始めました。新しいアルバイト先の居酒屋は、シフトの希望が通らず、塾の講師と併せて毎日のように働いていること。その影響で、失敗も増え、怒られることが多く、最近は夜も眠れなくなってきているということ。店長にシフトを減らす相談をすると、違約金を請求されたこと。それでも根本君は「きっとまだ仕事に慣れていないせいだと思うから大丈夫だよ」と話していたのです。
 話を聞いた次郎さんは、根本君がブラックバイトと呼ばれるようなアルバイト先に勤めているのではないかと思いました。また、根本君の最近の様子が、臨床心理学の授業で習った「大きなストレスを受けている時の特徴」に当てはまり心配になりました。

 人は強いストレスを感じるようになると、次第に以下のような症状が現れます。1つでもあてはまる場合は、体調管理に気を付けてストレスを和らげるように努力しましょう。2つ以上あてはまる場合は、家族や友人などの身近な人に相談したり、学生相談や医療機関、または学生生活無料健康相談テレホン()などの専門家に相談したりしてもよいでしょう。

 根本君は次郎さんの勧めで大学内の保健室の看護師から医療機関を案内され、心療内科を受診しました。また、大学のキャリアセンターにも相談し、ブラックバイトから学生を守る弁護団を紹介してもらい、居酒屋のアルバイトを辞めることができました。

 今日の根本君は顔色もよく元気そうでした。「すっかり元気になって、夜もよく眠れるよ。これから一緒にご飯でもどうだい」「それじゃ根本君のおごりだね」「何言ってるんだよ!割り勘に決まってるだろ!」と二人で楽しく出かけていきました。

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