2017年8月の健康便り —健康—

命を救うAED

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 夏休み真っ盛り。今日も体育館では様々なスポーツを楽しむ声が響き渡っています。用があって次郎さんと一緒に学校に来ていた花子さんは、友人が体育館にいるようだったのでのぞいてみることにしました。すると、誰かが突然倒れ、人が集まっていました。近寄ってみると、一人が胸の真ん中あたりを両手でギュッ、ギュッ、と体重をかけるように真上から押しており、もう一人は119番に電話をしているところでした。「AED持ってきて!」との声も聞こえ、誰か取りに行ったようです。 大丈夫かな。

 健康そうに見えた人が突然心臓の異常で亡くなってしまうのが心臓突然死です。大半は心室細動という不整脈によっておこります。心室細動になると心臓は細かく震えるだけで体に血液を送り出せなくなります。脳への血流が途絶えると数秒で意識を失い、そのままの状態が続くと数分で死に至ります。心室細動を起こした多くの人は病院に着く前に亡くなってしまうのです。救命には迅速な心肺蘇生と電気ショックが必要です。突然倒れた人の中には電気ショックの適応にならない人もいますが、心臓の状態と電気ショックの必要性を自動的に判断し、必要であれば電気ショックをすることで、心室細動を止めて正しい心臓のリズムに戻す医療機器が「AED(自動体外式除細動器)」です。

 電気ショックが遅れるごとに救命率はどんどん低下します。その場に居合わせた人の適切な処置がその人を救います。多くの人がAEDを用いた心肺蘇生法があることを知っておくとよいですね。

<AEDを用いた心肺蘇生の手順>

  1. 119番通報とAED依頼:意識を失って倒れた人の両肩を軽くたたきながら声をかける。反応がない、判断に迷う場合は大声で応援を求め、119番通報とAEDの手配を依頼する。
  2. 胸骨圧迫:胸や腹の動きで呼吸を確認し、呼吸がない、判断に迷う場合は胸骨圧迫を行う。圧迫する位置は胸の真ん中。テンポは1分間に100〜120回。強く、早く、絶え間なく行う。
  3. 人工呼吸:救助者が人工呼吸の訓練を受けており、それを行う技術と意思がある場合は、胸骨圧迫30回の後、人工呼吸を2回行う。人工呼吸を行わない場合は胸骨圧迫を続ける。
  4. AED装着:AEDの電源を入れ、音声に従い電極パッドに描かれた絵の通りパッドを胸に張る。作業中も胸骨圧迫は続ける。
  5. 安全確認をしてボタンを押す:AEDが電気ショックを必要と判断したら倒れている人に誰も触れていないことを確認し、ショックボタンを押す
  6. 胸骨圧迫再開:電気ショック後、AEDの指示に従い胸骨圧迫を再開する。

 誰かが体育館に備え付けられていたAEDを持ってきました。初めて見る光景に花子さんはドキドキ。どうやらAEDから自動音声が流れ、それに従って対応しているようです。知っていれば自分にもなにかできることがあるのかも。調べてみると、AEDを使った心肺蘇生を含む救命講習が地域の消防署などで行われているとのこと。時間のある夏休みの間に講習を受けに行ってみようかな、と思う花子さんでした。