2018年2月の健康便り —メンタル—

相談するメリットとデメリット

イメージ

 「先輩、今、ちょっといいですか?」
学食でぼーっとしていた次郎さんの目の前に、ゼミの後輩で2年生の高橋君が現れました。「うん、いいよ。どうしたの?」と次郎さんが訊ねると、もうすぐ3年生になるのに、自分の将来や就職活動について考えれば考えるほど分からなくなってしまうことや、考えはじめると他のことが手につかなくなって焦りばかりが大きくなることなどを、ぽつりぽつりと話しくれました。
「僕はどうしたらいいんでしょうか?」とつぶやく高橋君を見た次郎さんは、以前、先輩から“相談する”メリットとデメリットについて教えてもらったことを思い出しました。

 誰でも自分の悩みを人に相談したくなることがあります。それはどのようなときでしょう。“悶々としている気持ちや愚痴を聞いてほしい”“自分の判断に同意してほしい”“解決策を教えてほしい”など、いろいろな場面が考えられます。そんなとき“相談する”、つまり誰かに話を聞いてもらうことによって、自分の考えや気持ちが整理されて、“心がスッキリする”“知らなかった情報や知識を得られる”“考えつかなかったような方法や解決策に気づく”といったメリットがあるのです。
 しかし、その反面“自分の考えを否定される”“的外れなアドバイスを押し付けられる”“選択肢が多くなって、余計に混乱する”というデメリットもあります。相談相手に頼っていながら、結果がうまくいかないと「言うとおりにしたのに失敗した!」と恨みがましい気持ちになってしまうことさえあります。

 高橋君が抱えている悩みは、将来に対する“漠然とした不安”です。こうした悩みには、特効薬のような正解はありません。「僕はどうしたらいいんでしょうか?」と問われると、ついつい「こうしたらいいよ!」という解決策や方法を教えてあげたくなりますが、次郎さんは“相談する”メリットを高橋君に感じてもらうために、彼の話を受け止めながら、じっくり聴いてあげようと思いました。「ほんとうに不安だよね。僕も同じようなことで悩んで焦ったことあるよ」と言いました。

 「そうなんですよ!」と堰を切ったように、自分のなかの不安を一気に話し始めた高橋君。しばらく話すと高橋君は「僕、キャリアセンターに行ってきます。就職の悩みなら専門家に聞いた方が早いですよね。先輩に相談してすっきりしました。ありがとうございました!」と頭をさげると、明るい表情で席を立ちました。高橋君は相談することのメリットを感じたのでしょう。次郎さんも一安心です。