2018年5月の健康便り —健康—

自転車の「ながら運転」の危険

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 新緑がまぶしい季節、花子さんは就職活動のためスーツ姿で家を出ました。近道の公園を抜けて歩道へ出ようとしたときに「あっ、危ない!」猛スピードの自転車とぶつかりそうになり、歩道に尻もちをついてしまいました。ブレーキが間に合わず植え込みに突っ込んでしまったのは、クロスバイクにまたがる男子高校生です。手からスマートフォンが転がり落ちました。耳にはイヤホンがついています。
 花子さんは、自転車を「スマホしながら運転」していた大学生が歩行者に衝突して死亡させたニュースを思い出して怖くなりました。尻もちで済んでよかった…。

 2017年に片手にスマートフォン、片手にドリンクを持ちながら電動アシスト自転車を運転して死亡事故を起こした女子大学生は、重過失致死容疑で県警に書類送検されました。たとえ事故を起こしていなくても、改正道路交通法では、自転車運転中に危険、悪質な違反行為を3年間に2回以上摘発されると、都道府県公安委員会から自転車運転者講習を受講するようにという命令がきます。3ヶ月以内に受講しなければ5万円以下の罰金が課せられます。
自転車には運転免許は必要ありませんが、軽車両にあたるため、歩道と車道の区別があるところは車道通行が原則です。自転車の通行が認められている歩道では、すぐに停止できる速度で走り、歩行者を妨げる場合は一時停止をするなど、歩行者優先が義務づけられています。電動アシスト自転車、クロスバイク、ロードバイク、マウンテンバイクなど、スピードの出やすい自転車は、特に注意が必要です。傘をさしたり、スマートフォンを手に持って通話したり、画像を見たり、イヤホンで音楽を聞いたりなどの「ながら運転」も道路交通法違反に問われます。

 また、自転車による事故でも加害者になると数千万円もの賠償金を支払わなくてはならない場合があります。車やバイクのような自賠責保険加入の義務がない自転車等の事故による賠償のリスクに備えるため、大学生協共済連では「学生賠償責任保険」の加入をお勧めしています。

 立ち上がって砂ぼこりを払い、ケガをしていないことを確認した花子さん。「大丈夫?」と、青ざめてうつむいている高校生に声をかけました。自分も加害者にならないように気を付けなければ、と改めて思う花子さんでした。