2018年6月の健康便り —メンタル—

憂うつな気分の対処法

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 就職活動も順調に進み、気持ちとしてはゆとりがあるはずなのに、なぜか憂うつな気分が続いている次郎さん。着替えるのも、食事をするのもおっくうな日があります。「なにか病気なのかな…」と自分でも不安になるほどです。

 次郎さんは重い体をようやく起こして、久しぶりに大学に行きました。「まずは腹ごしらえしないと…」学食に向かうと、「あら、次郎さん! 具合でも悪いの? 顔色悪いわよ」と花子さんが心配そうに声をかけてくれました。

 「原因は分からないけど、憂うつな気分が続いている」ことを次郎さんが話し始めると、花子さんは「私も少し前まで、子宮頸がん検診のことで悩んでいた」と打ち明けてくれました。検診の案内を受け取ったものの、自分のような若い女性にもがんのリスクがあることに驚いたり、婦人科を受診することに抵抗があったりして、考えれば考えるほど、気分が落ち込む日が続いていたそうです。
 「でも、不安な気持ちを友達に話してみたら、その子も同じような不安を抱えていたことがわかったし、実際に検診を受けたことがある友達からいろいろと教えてもらったら少し楽になったのよ」と話してくれました。

 花子さんの憂うつな気分は、いわば「未知なことへの恐れや不安」です。自分の知らないことや、分からないことに出会うと誰でも不安になり、それが続くと憂うつな気分になってしまいます。そんなときは「未知なこと」について自分で調べたり、詳しい人に教えてもらったりすれば、不安を減らすことができます。
 では、次郎さんのように、本人にも原因が思い当たらないような「憂うつな気分」には、どのように対処したら良いのでしょうか。

 憂うつな気分になっている原因を「なぜ?」「どうして?」と深く考え込まず、趣味や運動をすることによって、気分転換をはかることが効果的です。また、好きな音楽を聞いたり、好きなものを食べたりして、自分を「気持ち良くする」ことを心がけてみましょう。休養が必要な場合もあるので、十分な睡眠をとることも大切です。寂しさや孤独を感じているなら、家族や友達に会いに行ったり、話を聞いてもらったりすることも気分が変わるきっかけになるかもしれません。

 次郎さんも花子さんと話しているうちに、少し気分が良くなってきました。思い切って大学に来たこと、ご飯を食べたこと、花子さんに気持ちを打ち明けたことが、次郎さんの「憂うつな気分」をやわらげたのかもしれません。「僕も花子さんと話して、だんだん気分が楽になってきたよ」と言うと、花子さんも安心したように笑顔を見せてくれました。