2018年8月の健康便り —健康—

スマホによる健康被害

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 夏休みのある日、花子さんはサークルの後輩である萌さんから、おしゃれなカフェに呼び出されました。「花子先輩、聞いてくださいよー」萌さんは、最近、夜なかなか眠れず、疲れやすいこと、目や首、肩に痛みを感じていることを一気にまくしたてました。「夏バテとも違う気がするし、萌、神社におはらいしにでも行こうかなと思って」口をとがらせながらも、手からスマホを離しません。ちょっと萌さん、いくらなんでもおはらいって…。

 萌さんは今、スマホゲームに夢中です。電車の中、ベッドに入ってからもスマホが手放せません。スマホなどから出るブルーライトは白熱電球のような暖色系の光と比べて覚醒作用が強く、寝る前にスマホを使うことで睡眠障害を招くことがあります。寝る1〜2時間前は使用をやめて画面を見ないように心がけてみましょう。
また、スマホに夢中になるとまばたきが減り、涙の量が減って目が乾燥し目の表面が傷つく可能性も指摘されています。定期的に目を閉じる、温める、遠くを見るなど、目をリラックスさせることを試してみましょう。

 スマホ操作では、どうしても軽く前にうつむいた姿勢となります。もともと首から背中にかけての骨は緩やかにカーブすることで重たい頭を支えるクッションの役目を果たしていますが、うつむく姿勢は、首がまっすぐな形(ストレートネック)になります。長時間、首の筋肉だけで頭を支えることになると、頭痛、肩こり、首の痛み、めまい、吐き気などの症状が出ることがあります。特にスマホの両手操作は、片手操作よりも頭や首を前に屈曲し、背骨が丸く猫背になって姿勢にも影響することがわかっています。長時間同じ姿勢でいることが筋肉疲労を起こすので、適度に体を動かしたり、入浴や蒸しタオルで肩や首を温めたりして、血流を良くし、筋肉の疲労をとるようにしましょう。
 また、スマホを小指にかけて長時間握ると、小指が変形したり、しびれが起きたりすることがあります。親指で長時間操作を行うことで、親指の付け根近くの腱が炎症を起こす(腱鞘炎)こともあります。親指を伸ばしたり広げたりするときに痛みがあれば、要注意。スマホの使用を控え、使い過ぎた腱を休める必要があります。
 不調や痛みが改善せず、ストレートネックや腱鞘炎などの影響が考えられる場合には、整形外科で相談してみましょう。

 「すごーい、花子先輩って物知り!」萌さんは感心してすぐにスマホをバッグにしまうと、運ばれてきたパンケーキをおいしそうに食べ始めました。「実はね、私も前に萌さんと同じ症状で悩んだときにお医者さんに言われたことの、受、け、売、り」花子さんも照れながらパンケーキをほおばりました。