2018年10月の健康便り —メンタル—

SNSでゆがむ本音

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 「乾杯〜!!」
 今日は久しぶりのゼミ仲間との飲み会です。次郎さんも、皆と近況報告をしながら楽しく飲んでいたのですが、お酒に強い小林君が珍しく酔っ払っているのが気になりました。

 「どうしたんだよ、小林君。酔うなんて珍しいね」
 「次郎聞いてくれよ。俺、吉田さんに振られたんだよ。向こうから付き合ってって言ってきたのにさ。3か月だぜ、ひどくないか。こうなったら俺は吉田さんのことをSNSに書き込んで、どれだけひどい女か皆に知らしめてやろうと思うんだ」
振られたショックはわかるけれど、SNSの書き込みはさすがにまずいと思った次郎さん。あわてて小林君の説得を試みます。

 近年、個人がブログやSNSを通じて、インターネット上で情報発信をすることが当たり前に行われるようになりました。自分の考えや日常生活を手軽に多くの人と共有したり、自分の投稿に対する反応をすぐに確認したりできることなどが、利用者にとって大きな魅力になっています。
 しかしその一方で、何気なく発信した言葉が、発信した人の意図と異なる捉え方をされ、思いもよらない方向に広まってしまうこともあります。たとえ小林君が自分の「傷ついた気持ちをわかってほしい」という思いだけで吉田さんのことを書いたとしても、吉田さんは、「批判された」「悪口を言われた」と受け取ってしまうかもしれません。また、小林君の発言を見た共通の友人が、「吉田さんはひどい女だ」と噂を流したり、「小林君が嫌がる吉田さんにつきまとっている」などと、勝手な憶測をしたりする恐れもあります。
 短い文字だけでは本当の思いが伝わりづらいこと、どう受け取られるかは読んだ人次第であること、意図せず人を傷つけてしまう可能性があることなどに十分注意しましょう。不用意な発言で人間関係を壊すことのないように、賢く使いこなしていきたいですね。

 「ごめん次郎、俺、本気で書き込もうなんて思ってないよ。ただ、ショックが大きくてさ。つい感情的になってしまっただけなんだ。たぶん、まだ吉田さんのことが忘れられないんだと思う…」
 そう泣きながら話す小林君を見ていると、なんだか胸が熱くなってきた次郎さん。何も言わず彼の肩にそっと手を置き、ぬるくなったビールを流し込むのでした。