2018年11月の健康便り —健康—

長引くせき

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 「もう11月か…」花子さんがカレンダーをめくっていると、突然萌さんから電話がかかってきました。「花子先輩、サークル仲間の大輔君のお見舞いに付き合ってくれませんか? 大輔君、調子が悪くてしばらく大学を休んでいるの」
 花子さんはサークル仲間数人と、1人暮らしの大輔君のアパートを訪ねてみました。パジャマ姿でドアを開けた大輔君は、お見舞いに女子がいると知り、あわてて着替えてから部屋に通してくれました。「せきが出はじめた時は風邪だと思って3、4日はマスクをして大学へ行ったんだ。そのうちに良くなると思ったけど、せきで夜も眠れなくて疲れが抜けず、休んでしまった。熱もないし、病院に行くほどでもないかなと思って。」
 病院に行かず、カーテンを閉め切ってひたすらベッドに横になっていたという大輔君。みんなで相談し、「長引いているのだから」と車の運転ができるサークル仲間が大輔君を病院に連れて行くことになりました。萌さんも付き添いを買って出たので、花子さんは家に戻り、萌さんからの連絡を待つことに。

 せきが2週間以上続くときには、肺がんや肺結核などの重い病気の可能性もあります。肺結核では症状が出てから2か月以上受診が遅れた結核患者数が、平成14年に比べて平成29年では増えています。きちんと治療をすれば治る病気ですが、人に感染させる状態のときは専門病院に入院が必要です。また、そのようなときに接触のあった人も感染を確認するために検査が必要になります。
 肺がんは、10〜20歳代ではかなり少ない病気と言えます。
 その他、長引くせきの理由として風邪やインフルエンザ、百日ぜき、マイコプラズマなどの感染症が、8週間以上続くせきではアトピー、せきぜん息、ぜん息なども考えられます。
 せきぜん息は、たんがほとんど出ない乾いたせきが続きますが、ぜん息のように息が「ゼーゼー」「ヒューヒュー」することはありません。アレルギーやダニ、ホコリが原因になったり、深夜や早朝、季節の変わり目などに症状が出ることも多く、治療をしないとぜん息に移行することもあります。
 肺や気管支の病気以外でもせきが出ることはあるため、長引くときには、まずは内科などの医療機関を受診しましょう。

 その日の午後、萌さんから電話がかかってきました。「大輔君、アレルギーかもしれません。お薬を飲んでお部屋も掃除するようにですって。もう、萌、すごく心配しちゃった。今から、大輔君のお部屋を掃除してあげようと思いま〜す。花子先輩、ありがとうございました!」自分もサークル仲間もだしに使われたことに気付いた花子さんは「なんなのよ」と思いつつ、積極的な萌さんがちょっぴりうらやましくなりました。