2018年11月の健康便り —メンタル—

お互いを大切にできる伝え方

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 「ねえ、次郎さん、私と小林君のこと聞いた?」学食でのんびりしていた次郎さんに、先月小林君と別れたばかりの吉田さんが話しかけてきました。「うん、もちろん」と答えた次郎さん。吉田さんは小林君とのことをポツリポツリと話し始めました。「初めはね、しっかりしているし、友達思いのところが良いなと思って告白したの。だけど実際付き合ってみると、私との約束より友達との飲み会を優先したり、突然私の家に遊びに来たり。LINEの返信が少し遅いと文句言われるし、勝手すぎてだんだんついていけなくなって…。私が自分の思っていることを我慢しないで小林君に言えたら良かったのかもしれないけどね」

 他人に自分の意見を伝えるのが苦手な次郎さんは、吉田さんの気持ちがよくわかりました。「自分の気持ちを相手に伝えるのって難しいよね。そういえば、就職活動している時、自分の意見をうまく相手に伝える方法として、キャリアセンターの人にアサーションっていう方法を教えてもらったよ。それからは少し苦手意識がなくなったかもしれない」そう言って次郎さんは、吉田さんに説明し始めました。

 アサーションとは、「自分」も「相手」も大切にしながら、自分の気持ちや考えを率直に伝えるコミュニケーションスキルの一つです。具体的には、

 という順番で分解して話すと、うまく自分の気持ちを伝えることができます。この時、「私」を主語にして話すことがポイントです。
 例えば、吉田さんの言いたかったことを実際のメッセージにしてみると、「私との約束より友達との飲み会を優先されて、私は大事にされていないのかなと感じて悲しかったの。本当は飲み会を断ってほしいけど、無理ならランチデートに変更するのはどうかな? 小林君の考えを聞かせてほしい」となります。

 アサーションの良いところは、相手を不快にさせることなく、自分の気持ちや考えを表現できるので、より良い人間関係を築く助けとなるところです。初めは少し難しく感じるかもしれませんが、慣れてしまえばいろいろな場面で使える表現方法です。詳しく知りたい方は、キャリアセンターのキャリアコンサルタントや学生相談所のカウンセラーなどに聞いてみると良いでしょう。

 「私もアサーションをちゃんと知りたい。キャリアセンターに行ってくるね! 次郎さん、ありがとう」
笑顔で走り出す吉田さんがなんだかまぶしく感じた次郎さんでした。