2018年12月の健康便り —健康—

これって「うつ」?

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 街はすっかりクリスマスの装い。花子さんはゼミが終わってから、イベント好きのまりえさんに忘年会の参加を確認しようと声をかけました。ところがまりえさんは「私、今年は行かない」とそっけない返事。なんだか表情もさえません。「あのまりえさんがイベントに参加しないなんて。何かあったのかな?」他の仲間も心配していました。まりえさんは「最近やる気がわかないし、理由もなく急にイライラするし。卒業した後のことも心配。ねえ花子さん、私ちゃんとやっていけるかしら」急に大粒の涙を浮かべはじめました。
 いつも明るいまりえさんが見せる涙に、花子さんはびっくり。「まりえさん、と、とりあえず学生相談室に相談してみよう。私も付き合うから」花子さんはどう声をかけてあげたらよいかわからず、とりあえず相談室へ急ぎました。

 相談室でもまりえさんは涙が止まりません。半月くらい前から毎日が憂うつで、何をやるのも億劫になっているとのこと。嫌なことばかりが頭に浮かんで、卒業して社会に出ても自分には何の価値もないのでは、と考えていたそうです。
「そう。つらかったですね」相談室の先生は、まりえさんが話し終わるまで待ってから、優しく言葉をかけました。「食事や睡眠はとれていますか?」
まりえさんは最近、食べ過ぎて体重が増えていることや、いくら寝ても疲労感が取れず、なかなか起きられないことも話してくれました。
「先生は医者ではないのではっきりとは言えないけど、まりえさんはもしかしたらうつ状態なのかもしれないね。大学の校医の先生に相談にいってみませんか?」
うつならば食欲もなくなるし、眠れなくなるのではと思った花子さん。まりえさんもそう思って、先生に質問しました。
「うつ状態の症状には、食欲が低下してやせてしまうこともあれば、逆に食欲が増して太ってしまうこともあるの。睡眠についても、眠れない人もいれば、眠りすぎてしまう人もいるそうよ。憂うつな気分になって、楽しめていたことに興味が持てなくなったり、疲れやすかったり、自分には価値がないと感じたり。そういったことが2週間以上続いているなら普通の気分の落ち込みとは違うかもしれないから、医者に相談してみましょう。うつ状態であれば治療を受けることで、ずっと楽になると思いますよ。」

 先生の一言に納得したまりえさんは、さっそく校医のクリニックに予約を入れました。忘年会にまりえさんがいないのは残念だけど、元気が出たら、復活イベントをやろうね…。花子さんは心の中でまりえさんを応援するのでした。