2019年2月の健康便り —メンタル—

不安を減らす方法

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 卒論も無事終わり、気持ちに余裕があるはずなのに、なぜか元気のない次郎さん。「4月から仕事が始まるけど、僕は社会人としてちゃんとやっていけるのだろうか」という不安で頭がいっぱいなのです。友達から卒業旅行に誘われたのに、断ってしまうくらい次郎さんはテンパっています。

 そんな時、浩叔父さんから「出張のついでに、就職祝いをしてやろう」と誘われました。次郎さんの母の弟で、子どもの頃からかわいがってもらっていました。叔父さんは次郎さんを見て「就職祝いなのに元気がないな。もしかして、自分は社会人としてやっていけるのか、会社の期待にこたえられる仕事ができるのか、なんてことを心配しているんじゃないか?」と言いました。その言葉は、次郎さんの不安そのものを言い当てていました。

 「俺も大学を卒業する前に、“本当にこの選択で良かったのか? 後悔はないのか?”って悩んだよ。毎日眠れないほど悩んだけど、後戻りはできないって思った。就職は決まっているんだから断るわけにもいかないだろ?」と、叔父さんは自分の経験を話してくれました。話を聞いているうちに、自分だけが悩んでいるわけじゃないんだ、と少し気持ちが楽になりました。そして、次郎さんは自分の抱えている不安が何なのか、ぼんやり見えてきたような気がしました。毎日遅刻しないで出勤できるか、スーツは何着あればいいか、職場の人達と仲良くできるか、仕事はどうやって覚えていくのかなど、数えきれないほどの不安に押しつぶされそうになっていたのです。

 「遅刻するのが心配なら、今から生活リズムを朝型にしておけばいいし、スーツは最初2着あれば大丈夫じゃないか? とにかく、具体的な答えをひねり出してみろ! 5分考えても答えが出なければ、“保留”にしておけ!」という、やや乱暴な叔父さんのアドバイスは、次郎さんにとって最高の就職祝いになりました。それから数日間、次郎さんは悩んでいることや不安に思うことをノートに書き出し、その一つ一つに具体的な解決策を考えてみました。考えても分からないことは、とりあえず“保留”にしておきました。

 誰でも就職や進級など、環境の変化を前にした時に不安を抱えるのは当然です。そんな時は次郎さんのように、不安に感じることを書き出してみる(可視化)と、気持ちや考えが整理しやすくなります。そのうえで優先順位を決め、行動することによって不安を減らすことができるでしょう。

 書き出した悩みのひとつでもある“花子さんとの関係”。次郎さんは気持ちを引きしめて5分間、考えました。「うーん、これはもう保留にはできないなぁ…」
出した答えは?「卒業式までにデートする」でした。