2019年7月の健康便り —健康—

熱中症を予防しよう

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 小田さんは剣道部の主将です。今年も夏休みに地方での合宿練習を計画しています。5月に急な猛暑が続いて部員が熱中症と思われる症状になったため、合宿中の体調管理についてどのような注意が必要か、健康管理センターのモモセさんに確認したいと訪ねてきました。

 「剣道場で防具を着用しての練習だから、熱中症にはきわめて注意が必要ね」モモセさんは腕組みをしながら答えました。「熱中症は気温や湿度が高い、日差しが強い、締め切って風通しが悪い場所、エアコンがない部屋などで注意が必要です。エアコンが効いた武道館などで練習をするの?」小田さんは首をふり、合宿先近くの小学校の体育館をお借りすることになっているので、エアコンはありませんと答えました。

 モモセさんは環境省の熱中症予防情報サイト()を教えました。環境省が発表している暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度)は気温、湿度、日照・輻射など周辺の熱環境の3つを取り入れた指標で暑さ指数が28℃を超えると熱中症患者が急増すると言われています。環境省の熱中症予防サイトから全国の暑さ指数を確認できるため、合宿先でもスマートフォンでチェック可能です。
「湿度が高いと、汗が蒸発しにくいので体から熱を逃がす能力が落ちてしまうし、脱水で汗が出なくなっても同じように放熱できなくなるの」小田さんは熱中症の初期症状はどんな様子か尋ねました。軽症の場合はめまいや立ちくらみ、筋肉痛やこむら返り、手足のしびれなど。症状が進むと頭痛、吐き気、体がだるくなって力が入らない。重症になると意識がなくなり、けいれんを起こしたり、汗をかかなくなったりするので皮膚が乾き、熱を逃すことができずに体が熱くなってしまいます。
モモセさんは対処法も説明しました。症状が軽い場合はすぐに涼しい場所へ移動させて体を冷やし、自分で冷たい経口補水液やスポーツドリンクなどを飲んでもらいます。必ず付き添いをつけ、手当てをしても症状が改善しない場合はすぐに病院へ連れて行くように伝えました。小田さんはメモをとりながら「やはり水分は経口補水液がいいのですか?」と質問しました。汗をかいて体内の塩分(ナトリウム)を失っているため、おススメであるとモモセさんは答えました。

 熱中症は高齢者から子どもまで広い年代で起こしてしまう症状ですが、学生はスポーツをしている間に発症することが多く、短時間で症状が進みやすいので注意が必要です。屋外だけでなく、体育館など屋内のスポーツでも発症します。環境実験で体育館は午後1時頃から日没後午後10時頃までは気温が高い状態が続くとのこと。小田さんは「練習時間のスケジューリングや大型扇風機を借りられるかなど、対策を今一度確認してみます」と言って健康管理センターを後にしました。頼もしい主将の姿に、「秋の大会に向けて、頑張れ!!」と声をかけずにはいられないモモセさんでした。

環境省 熱中症予防情報サイト http://www.wbgt.env.go.jp/