2019年7月の健康便り —メンタル—

目標や計画の立て方

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 「夏休みが怖いんです。1年生の時は、先輩に誘われてバイトしたり、友達と遊びに行ったりしているうちに、あっという間に終わってしまったんです。終わった後に、何だかもったいない過ごし方をしたような気がしました。だから今年は2ヵ月以上もある長い夏休みを有意義に過ごしたい、と思っています。どうしたら有意義に過ごせるのかいろいろ考えてみたんですけど、まとまらなくて…」
 今回の相談者は2年生の山口春奈さん。見るからに真面目そうな雰囲気の山口さんは、これまで自分で考えた計画メモを見せながら、心理カウンセラーのキムラさんに話し始めました。

 びっしり書き込まれた計画メモを見て、「ここに書いてあることは、いわば山口さんの頭の中ですね。こんなにたくさんあったらまとまらないのも当然だと思いますよ。一緒に整理しながら、“有意義な夏休み”の計画を見つけていきましょう。まずは、山口さんにとって“有意義”って具体的にどういうことですか?」とキムラさんは質問しました。

 しばらく考えて山口さんは「やりきった感じっていうか、何か達成感が得られたら、有意義に過ごしたって言えるような気がします」と答えました。「じゃ、山口さんがやりきった、って感じるのはどんなときですか?」とキムラさんは質問を続けました。「みんなで協力して何かを作ったり、やったりして、それが成功した時です」とすぐに答えが出てきました。

 このように相手から質問されると、自分が何を考えているか、どんな気持ちになったかなど、相手に分かりやすく伝えるための「答え」を探します。「質問される」「考える」「答える」といったプロセスを何度か繰り返すうちに、漠然としたイメージや思いつきのようなアイデアも、だんだん具体的になっていくのです。質問してくれる人がいなければ、紙に書き出して、曖昧な言葉を「○○って、どういうこと?」と自問自答してみるのもよいでしょう。

 山口さんはキムラさんと話しながら、「長い夏休みを有意義に過ごすために、人と協力して、誰かの役に立つような体験をしたい」と気づきました。計画メモには“ボランティアをする”と書いてあったので、具体的にどんなボランティアをするか考えを進めていくと、「子どもの学習支援・キャンプや夏祭りの運営に関わるボランティア」を募集している団体を見つけました。
 「説明会をやっているみたいなので、まずは参加してみます。これなら子ども達の役に立つと思うし、夏祭りの運営なんて面白そうですよね。実際、私にできることがあるのかどうか分からないけど、夏休みの間にチャレンジしてみます」とすっきりした表情の山口さん。
 山口さんの計画メモは、これからもたくさん書き込まれるんだろうなぁ、と楽しみなキムラさんでした。