2019年10月の健康便り —健康—

スポーツ中のケガ

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 気持ちのよい秋晴れ。窓を開けて深呼吸をしていたモモセさんは、ラグビーのユニフォームを着た集団が健康管理センターに向かってくる様子に、慌てて入口の扉を開けました。2人の部員が他の部員に肩を担がれ、片足でケンケンをしながらやってきました。「どうしました?」素早くソファーとベッドに足を投げ出すように座らせながら、状態を確認します。
 部長の沖田さんは、練習試合中に小野さんが中村さんにタックルをして倒れた後から、2人がそれぞれ足をかばうようにして痛みを訴えたことを、説明してくれました。

 運動中などにケガをした時は、まず腫れがないか、変形してないか、自分で動かせるかを確認します。受診するまでの応急処置として、ケガをした箇所の出血、腫れ、痛みを防ぐことを目的に、動かさないよう安静にします。氷などで冷却し、包帯やテーピングで固定。ケガをした部分は足であれば椅子やベンチに乗せる、手であればデスクに乗せるなどして下におろさないほうが、腫れがひどくなりません。冷やす時の注意として、肌に直接氷を当てず、包帯の上から当てるか、氷を入れたビニール袋や保冷剤をタオル等に包んで当てます。患部の感覚がなくなったら一度外し、痛みが出たらまた冷やします。
 意識がない、頭や頚部、背中のケガ、大量の出血がある、脱臼や骨折の可能性があるような変形は、重症の可能性があります。すぐに救急車を呼ぶか、現地に医師や看護師がいれば対応を任せましょう。

 「サッカーやラグビーなど競技者間の接触が多いスポーツは、どうしてもケガが多くなるよね」モモセさんは手早くテーピングとアイシングを行いながら話しました。「少しでもケガのリスクを減らすためには、日ごろの管理が大切よ。練習を頑張りすぎて筋肉疲労を溜めてしまわないように、練習後はきちんと休養や睡眠もとること。ウォーミングアップとクールダウンをおろそかにしないこと。グランドの整備にも目を配ってね」
 部長の沖田さんも「今まで、日ごろの体調管理は、部員個人に任せていたので、今後は監督やコーチ、マネージャーとも相談しながらチームとしてケガの予防を考えます」と答えました。

 モモセさんが病院の受診を勧めると、小野さんから「学生総合共済に加入しています。治療費の相談はできますか」と質問がありました。モモセさんは受診後に相談できるよう、「大学生協共済・保険サポートダイヤル」の電話番号を教えました。
 「症状を長引かせないことが大切よ。復帰したら試合を観に行くね」2人を乗せたタクシーを見送るモモセさんに、小野さんと中村さんはガッツポーズを返してくれました。