2019年10月の健康便り —メンタル—

挨拶はコミュニケーションの入り口

イメージ

 「僕は可愛い彼女がほしいんです。友達は夏休みに彼女ができたみたいで。自分だけ置いてきぼりになったようでさみしい気持ちです。今まで付き合ったことがないのも恥ずかしいし。相談にのってくれますか」
 真っ黒に日焼けをした1年生の小泉さんが話し始めました。「彼女はほしいけど、こんな自分でも彼女ができるのかなって。自信がありません。高校は男子校だったし、部活が忙しくてアルバイトをする時間もなくて。女子に対する免疫がないんです。大学生になったら彼女ができるかと思ったけど全然だめです」とまだあどけなさが残る顔でしょんぼりしています。

 「気になる女の子はいるの?」とキムラさんが質問すると、「はい。アルバイト先に気になる子はいるんですけど。何を話していいのか分からなくて。自分から話しかけられずにいます」と小泉さんは答えました。「具体的に仲良くしたい女の子がいるんだね。普段だったら、小泉さんは周りの人とどんなコミュニケーションをとるの?」

 「高校の部活で、挨拶はコミュニケーションの入り口だから、明るく元気に挨拶するよう言われてきました。大学でも顔見知りに会ったときには、自分から挨拶するようにしていました。そうすると相手からも話しかけてくれるようになって、自然に友達の輪も広がりました」と小泉さんは笑顔で答えました。

 「そうだよ、そのままでいいんだよ」とキムラさんは言いました。コミュニケーションをとるためにはステップがあります。挨拶はその入り口と言えるでしょう。挨拶の「挨(あい)」には心を開く、「拶(さつ)」にはその心に近づく、という意味があります。自分から心を開いて、相手にも心を開いてもらいたいという気持ちが込めてられているのです。
 挨拶で相手とコミュニケーションのきっかけが生まれたら、自分を知ってもらうために、自分の考えや感じていること、趣味や好きなことなどをオープンに伝えます。相手との関係を築きたい、距離を縮めたいと思ったら、自分から働きかけることが大切です。まずは勇気をもって、挨拶から始めてみましょう。

 「そうかぁ。挨拶からでいいのか。女子を意識しすぎて、自分で難しくしていたみたいです。まずは自分から挨拶をしてみます」と決意を持って小泉さんは帰っていきました。“みんな難しく考え過ぎて、一歩を踏み出す勇気が持てないんだよね。気になる女の子と親しくなれるといいね”と小泉さんの背中を見送りながらキムラさんはつぶやきました。