2019年12月の健康便り —健康—

お酒の楽しみ方

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 街が華やかなイルミネーションに彩られる季節になりました。3年生のゆり子さんはゼミ仲間から忘年会に誘われていますが、参加を迷って健康管理センターのモモセさんのところにやってきました。
「去年の忘年会で初めてお酒を飲んで、初めは楽しい気分だったの。甘いお酒は飲みやすくて、きっと飲みすぎちゃったのかな。帰るころには気分が悪くなってきてみんなに迷惑をかけちゃった」
ゆり子さん、正しいお酒の飲み方を身につける必要がありそうね。

 お酒に含まれるアルコールは、脳の理性に関係する部分の働きを鈍くして、感情、衝動、食欲、性欲など、本能的な部分が活発になります。そのため気分が高揚し、元気が出てきます。
ですが「酔い」とは、アルコールの麻酔作用で脳をマヒさせた状態です。マヒが進むと、理性が働かなくなり、気が大きくなったり、怒りっぽくなったり、ふらついたり、立ち上がれなくなったり、言葉がはっきりしなくなったりといった症状が出てきます。さらに、吐き気やおう吐がみられ、意識がもうろうとします。マヒが脳全体に広がると呼吸にかかわる部分も働かなくなり、死に至ります。
転んでケガをしたり、けんかになったり、記憶がなくなるなど、自分の健康を損ねるだけではなく、社会的な信頼も失くしてしまいます。

 アルコールに対する強さには個人差がありますが、一般的に女性は男性よりアルコール分解能力が低くなります。また、体重の重い人と軽い人では、軽い人の方が血液中のアルコール濃度が高くなるため酔いやすいと言われています。お酒の適量とは、楽しい気分になる、リラックスできる「ほろよい」まで。声が大きくなり、体がふらつくようなら飲みすぎです。
「ほろよい」に相当する酒量の目安は、ビール500ml、ワイン小グラス1杯200ml、アルコール度数7%の缶チューハイ350ml、日本酒1合180ml、ウイスキーダブル1杯60ml、25%焼酎グラス半分100mlです。飲めない人には、少量でも無理に勧めてはいけません。

 お酒は、一気飲みなどはせず、時間をかけてゆっくり飲みましょう。胃の粘膜を荒らさないように、脂肪を含むチーズや牛乳を飲酒前に摂っておくのがお勧めです。お酒のつまみには脂質の少ない豆腐や刺身、焼き魚など、アルコールの吸収を穏やかにしてくれるタンパク質と、野菜などでアルコールの代謝に必要なビタミンを摂るとよいでしょう。強いお酒は薄める、水とお酒を交互に飲むようにすると、血中アルコール濃度が急に高くならず、二日酔いを防ぐことができます。

 ゆり子さんはペロリと舌を出し、「今度はお酒にのまれないようにします」と言って健康管理センターを後にしました。