2020年3月の健康便り —メンタル—

怒りをコントロールする方法

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 「ちょっと、友達との付き合い方で悩んでいて…」と健康管理センターの相談室にやってきたのは、2年生の松本のぞみさんでした。キムラさんは、深刻そうな表情でうつむいている松本さんを席に案内し「もう少し詳しく話してもらえますか?」と聞きました。松本さんはゆっくりと言葉を選びながら、入学した頃から仲良くしている友達のことを話し始めました。

 「その子は成績が良い方なんですけど、それを私に自慢してくるんです。私、成績は普通だから、なんだか嫌味を言われているようで、ムカムカしちゃうんですよね。あと、その子が授業の課題をやってこないで、いつも私に答えを聞いてくるのもすごく嫌です。その子、頭が良いくせに課題はやらないで、いつも彼氏と遊んでばかりなんです。せっかく大学に入ったのに、勉強しないで遊んで過ごすなんて、あり得ないですよ」

 「松本さんは怒ったような口調で話を続け、「昨日も、その子は課題をやってこないで、私に『答えを教えて』って言ってきたんです。私、すっごい腹が立って『いい加減にして!』って大声でどなっちゃったんです。でも、そんなふうに怒った自分が情けなくて、自己嫌悪に陥りました。どうしたら、怒らないでいられるんでしょうか?」とうなだれました。

 キムラさんはまず、怒りについて説明しました。「そもそも怒りは、出来事を受け止めるときの感情に左右されます。相手の言葉や行為に対して“受け入れられない”と強く思ってしまうと、怒りも大きくなりやすいの。松本さんには『課題は自分でやるべき』という理想がある。それなのに、友達はいつも『自分でやらずに、他人に頼っている』、その行動が受け入れられないから、怒りが出てしまったのだと思います」と伝えました。

 「怒りの感情が出るのは悪いことではないけれど、怒りをぶつけて相手との関係が悪くなると困るよね。そんなとき、自分の怒りをコントロールする方法はないか、一緒に考えてみませんか?」とキムラさんは提案をしました。しばらく考え込む松本さん。「例えば、怒鳴る前に6秒待つとか、怒りの元になった出来事について考えないようにするとか、怒りの気持ちを切り替えるために体を動かすとか、そんなことも効果があると言われていますよ。何かできそうなことはあるかな?」と松本さんが考えやすいヒントを伝えました。「深呼吸をするとか、立ち上がるとか、そんなことでもいいのかなぁ。あと、なにか飲むとか?」と、話しているうちに松本さんからも良いアイデアがどんどん出てきました。

 「こういう、ちょっとしたことならできそうです。今度、怒りそうになったら6秒数えてみます。なんだかすっきりしました!」明るい表情で相談室を後にした松本さんでした。