2020年4月の健康便り —健康—

健康診断で貧血を発見!

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 大学2年生の相田奈々子さんは、卒業する先輩の追い出しコンパや新入生の歓迎会で大忙し。「最近体がだるくて顔色もさえないな。寝不足だからかな~?」新学期に大学で受けた健康診断の結果が届くと、慌てて健康管理センターへかけ込みました。「モモセさん! 健康診断の結果に要治療と書いてあるんです。私、何かの病気ですか?」モモセさんは「どれどれ」と結果表に目を通しました。相田さんの健診結果で異常値が出ていたのはヘモグロビン。基準値の11.4〜14.6g/dlよりかなり低い数値でした。

 WHO基準では、血中のヘモグロビン濃度が成人男性で13g/dl未満、成人女性は12g/dl未満が貧血です。ヘモグロビンには酸素を運ぶ働きがあるため、ヘモグロビンが少なくなると、体のだるさ、疲れ、息切れ、顔色不良などの症状が出てきます。更に悪化すると爪がスプーンのように反り返る、爪が割れやすくなる、抜け毛・枝毛が増える、下肢がむくむ、微熱が出るなど様々な症状が出ることもあります。
 貧血には月経や妊娠、鉄の摂取不足などでおきる鉄欠乏性貧血、ビタミンB12や葉酸が不足して起こる巨赤芽球性貧血、骨髄の造血機能の悪化で生じる再生不良性貧血などがあります。最も多いのは鉄欠乏性貧血です。女性は月経や妊娠があるため、男性に比べ鉄欠乏性貧血を起こしやすいといえます。子宮筋腫などで出血が続く、ダイエットなどで食事を制限している、食事のバランスが悪いなども鉄欠乏性貧血につながります。
 家庭でできる鉄欠乏性貧血対策は、まずは食事で鉄分をしっかり摂取すること。摂取推奨量は吸収率等を考えると成人男性では1日7.5mg、月経のある女性では1日10.5mg。鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄があります。吸収されやすいヘム鉄はレバーやアサリ、赤身の魚などの動物性たんぱく質に含まれ、吸収されにくい非ヘム鉄は野菜や卵、牛乳などに多く含まれています。非ヘム鉄はタンパク質やビタミンCを多く含む食品と一緒に摂ると吸収率がアップするので、いろいろな食品と組み合わせて食べるのがお勧め。
鉄欠乏性貧血と指摘されたら、まずは婦人科系疾患など、病気による原因がないか調べることが先決です。健康診断で異常を指摘された場合は必ず医療機関を受診しましょう。

 3ヶ月後、病院を受診した相田さんがセンターへ顔を出してくれました。貧血の原因は、やはり食生活の乱れや月経だったようです。「最近は自宅で料理を作るように心がけています。料理の腕を磨いて貧血にならないように気を付けているんですよ!」と言って、元気に去っていきました。