2020年4月の健康便り —メンタル—
「こんにちは」少し疲れた声で挨拶をしながら健康管理センターの相談室に入ってきたのは、4月から2年生になった阿部健太さんです。「実は先月から一人暮らしを始めたんですけど、やることが多くて毎日ヘトヘトなんです。この調子で、本格的に授業が始まっても大丈夫なのかと心配になって、思い切って相談にきました。こんな相談でも大丈夫ですか?」
そう切り出した阿部さんに、心理カウンセラーのキムラさんは、「大丈夫ですよ。心配なことはなんでも話してくださいね」と優しく答え、普段の生活について詳しく聞き始めました。どうやら初めての一人暮らしということから、当初は張り切っていたものの、掃除、洗濯、料理などの家事全般に加え、サークル活動やアルバイトも始めたことで、生活リズムがうまく作れずストレスもたまっているようでした。
そこでキムラさんは、ここ1週間の阿部さんの具体的な生活を、表に書き出してもらうことにしました。書き終えた阿部さんに、「自分で振り返ってみてどうですか?」と尋ねたところ、「睡眠時間がバラバラですね。毎日忙しいと思っていたけど、意外とダラダラしている時間も多いんだなと思いました。ご飯を1日1食しか食べていない日もあるし、それから…」次から次へと気になる点が見えてきました。
「生活リズムが整うと、気持ちにも余裕が出てきますよ。そのためにも、まずは食事と睡眠を十分に摂ることを大切にしていきましょう」そして、阿部さんが取り組めそうなことを一緒に考えてみることにしました。
食事は1日3食摂る、お惣菜を活用する、布団に入ったらスマホを触らない、朝は毎日同じ時間に起きる、お風呂は1週間に1回は湯舟につかるなど、改善のアイデアが次々と出てきます。「体をリラックスさせてあげることも、良い睡眠につながりますよ」そう言ってキムラさんは、筋弛緩法(筋肉を一度緊張させてから、一気に緩める)という、体と心をリラックスさせる方法を阿部さんに紹介しました。
初めての一人暮らし。楽しくてあれもこれもと全部やろうと頑張りすぎると、息切れしてしまいます。最初から完璧を目指さず、少しずつ自分の生活リズムがつかめるようになると良いですね。最後に、「こんな相談でも大丈夫かな」と遠慮せずに相談に来てほしいこと、体調面で気になることは看護師にも相談できることなど、健康管理センターの活用方法を伝えて阿部さんを見送ったキムラさんでした。