2020年5月の健康便り —健康—

頑張り屋さんがなりやすい、5月の病気とは!?

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 大学院生として新たな生活を心待ちにしていた修士1年の矢澤辰也さん。最近はやる気が起きず、気分も沈みがちです。ある日「最近元気ないね。何か悩みでもあるの?」と同じサークルの水田絵里先輩がスマートフォンにメッセージを送ってくれました。そう聞かれて、急に不安になった矢澤さんは、大学の健康管理センターに電話をしてみました。電話を受けた看護師のモモセさんは「五月病かもね」と一言。「五月病? それってやる気のない、だらしのない人がなる病気じゃないですか」矢澤さんはがっかりしてしまいました。

 主に新入生や新入社員などが、5月の連休明け頃に無気力、無関心、無感動を訴える症状を五月病と言ったりします。新しい環境に対する適応不全のために起こるストレス反応と考えられています。溜まっていた心身の疲れがでたり、新しい環境や人間関係に対応するストレスをため込んでしまったりした後などに起こりやすいようです。一時的な症状ですむ人もいれば、症状が続きうつ病の原因となる場合もあるため注意が必要です。
 五月病対策で大切なことは、まずは規則正しい生活をすることです。授業がなく外出をしないときなどは昼夜逆転するようなこともあるかもしれません。毎日一定のリズムで生活を送ると自然に自律神経が整い、精神的な安定が期待できます。適度な運動もお勧めです。ストレスが軽減し、リラックス効果も得られます。 YouTubeなどでは動画でいつでもできる簡単な運動も紹介されていますね。趣味や好きなことに没頭する時間をもつことも大切です。
 規則正しい生活をしても気分がすぐれない、辛さがたまってしまうなどというときは人の力を借りることも有効です。家族や友人などに自分の気持ちを話してみてはどうでしょうか。ビデオ通話やオンライン会議システムなどを活用するのもひとつの方法ですね。知り合いに話しにくければ、健康管理センターや相談室などの看護師やカウンセラーといった専門家に話すのも良いでしょう。守秘義務は守られるので安心して話せます。

 周りの人がしてあげられることもあります。気持ちが落ち込んでいるような人がいたら、「大丈夫?」とメッセージを送ってあげると良いかもしれません。心配してくれる人がいる、人とつながっている、という思いがその人を支える力になることもあります。

 「五月病になったのはこれまで頑張っていた証拠。無理せず休んで大丈夫ですよ」とモモセさんは矢澤さんに話しました。水田さんにそのことを報告すると「私も大学に入学した年は五月病になったなあ。ゆっくり休むようにしたらよくなったのよ。本当に誰でもなるのね」との返信が。それを読んで矢澤さんの顔に少し笑顔が戻りました。