2020年10月の健康便り —健康—

気胸という病気を知っていますか

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 長身ですらっとした2年生の佐藤弘紀さん。友人と構内を歩いていると突然胸が痛んで息苦しくなり、そのまま廊下にしゃがみこんでしまいました。友人は慌ててモモセさんのいる健康管理センターに駆け込みました。これまで健康診断でも特に問題がなかった佐藤さん。モモセさんが付き添って受診をすると、気胸との診断でした。気胸とはいったいどのような病気でしょう。

 気胸は肺から空気が漏れ、肺と胸壁の間にある空間に空気がたまる状態です。空気が漏れても、肺は肋骨に囲まれているため外側に膨らむことはできません。そのため空気に押されて肺が広がらず、呼吸がしにくくなります。

 気胸になる原因はいくつかありますが、最も多いのは自然気胸です。自然気胸は、ブラと呼ばれる空気の入った袋が破けて肺の表面に穴が開き、空気が漏れることが原因です。レントゲンやCTなどで診断されます。空気の漏れは自然に止まることが多いですが、漏れ続けると空気で肺や心臓が圧迫され、突然胸が痛む、息苦しさを感じるなどの症状が起こります。10歳代から30歳代のやせ型の男性に起こりやすく、学生総合共済でも共済金申請が多い病気です。

 軽度であれば安静のみで症状は改善します。たまっている空気が多い場合は胸の外からチューブを入れて空気を抜いたり、空気の漏れが止まらないときは薬材の注入や手術で穴をふさいだりする治療を行います。自然気胸は適切な治療をすれば経過は良好ですが、再発の可能性があります。激しい運動は避けるなどの配慮が必要ですが、気胸の程度や持病の有無などによって気を付ける内容が異なります。何に気をつけて生活すればよいか、主治医に確認しましょう。

 佐藤さんは幸い、軽度の自然気胸でした。入院はしなくて済み、自宅で療養となりました。自然気胸については初めて聞くことばかり。友人に「健診で何でもなければ元気だと思っていたけど、若くても急に病気になるものなんだな。気胸なんて病気、知らなかったよ」とこぼす佐藤さんでした。