2020年11月の健康便り —健康—

お酒の飲み過ぎが体に与える影響

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 3年生の中野志保さんは、ゼミの先輩で大学院生の栗原加奈さんから毎週のようにリモート飲み会に誘われるようになりました。緊急事態宣言中は自宅に一人でいることが寂しくて、毎回参加していましたが、最近は大学の講義も始まり、飲み会の時間をとることが難しくなりました。
 「遊びも飲み会もしにくいから、毎日昼間から家で飲んでるんだぁ。やらなきゃいけないことがあっても飲んじゃうんだよねぇ」酔っぱらっている先輩の発言に、中野さんは「これってアルコール依存症じゃない?」と心配になりました。中野さんは健康管理センターのモモセさんに先輩のことを相談してみました。

 お酒の飲み過ぎは肝炎などの疾患や様々な生活習慣病、うつ病や不安障害など心身両面にダメージを与えることがあります。また、長期間におよぶ大量の飲酒は、将来的にアルコール依存症になる危険性もあるのです。依存症になると、アルコールが抜けてきたときに手の震えや発汗、脈拍の増加、嘔気や嘔吐、うつ状態、幻聴、幻覚などといった離脱症状が現れます。「飲酒の量や時間をコントロールできない」「手元にアルコールがないと落ち着かない」「離脱症状がある」「飲酒に代わる楽しみがない」などといった様子が見られる場合は要注意です。

 女性は男性よりもアルコールの分解速度が遅く、短期間で依存症になりやすいと言われています。お酒の量や時間をコントロールできず、生活に支障が出ていると思われる家族や友人がいるときは、飲酒習慣が長期化する前に、内科や精神科、心療内科などの受診を勧めてみましょう。
 中野さんからモモセさんへの相談を勧められた栗原さん。毎日お酒を飲んでしまう生活に自分でも心配があったのでしょう。さっそくモモセさんへ連絡しました。モモセさんから医療機関の受診を勧められ、家族とともに受診したところ、アルコール依存症ではありませんでしたが、不安が強い様子だったため、一時的に実家に帰ることになりました。
 モモセさんは「栗原さんに相談を勧めてくれてよかった。ありがとう」と中野さんにお礼を伝えました。「コロナ禍で不安を感じている人も多いから、お酒に頼っちゃう人が増えているのかも。こんな時こそ、お酒との付き合い方には気をつけないとね」オンライン授業でだれとも会えず、一人で不安を抱えている人がいるかもしれないと、学生たちに思いをはせるモモセさんでした。