2020年12月の健康便り —健康—

性の悩み~好きになる性は様々

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 大学1年生の大地亮さんは、高校生の頃から「自分は男性が好きなのかもしれない」と感じていました。最近その気持ちが強くなり、自分はおかしいのかと悩むようになりました。周りの目が怖くて誰にも相談できません。最近は夜眠れないことも多くなりました。健康管理センターのモモセさんに不眠のことを相談すると「眠れない原因に心当たりはあるのかしら」と聞かれ、大地さんは初めて自分の思いを人に話すことができました。

 以前より認知度が高くなってきたLGBTですが、国や地域、時代によって受け入れられ方は違います。LGBTとは当事者側が名付けた言葉です。自分を女性と認識し女性を好きになるレズビアン、自分を男性と認識し男性を好きになるゲイ、女性を好きになることも男性を好きになることもあるバイセクシャル、出生時に割り当てられた性別と異なる性自認を持つトランスジェンダー、それぞれの頭文字をとったものです。性のあり方が定まっていない、決めたくない人もいれば、恋愛や性愛的な意味で誰も対象にならない人もいます。性のあり方は人それぞれ。LGBTは「LGBTなど」という意味でつかわれており、LGBTだけでなくそれ以外にもさまざまな性があることを意味しています。LGBTは全人口の3%~10%、10~20人に1人の割合でいると言われています。周囲が気づかないだけで、実際にはたくさんいるのです。
 LGBTの方はそのままの自分を表現しがたいことが多く、コミュニケーションや対人関係の不安定さなどから社会的・心理的に孤立しがちです。ストレスや将来への不安などによる脱毛や睡眠障害、うつ病などの病気になる場合もあります。病院や健康診断へ行きづらいため、病気が悪化するなど健康面で問題が生じることもあります。周囲の人に相談できないときは、電話やメールなどで支援団体窓口や健康相談窓口を利用するとよいでしょう。

 「性的指向は病気ではないのよ。生まれつきで自分では変えられないの。男性を好きになるのは大地さんの個性。気持ちを教えてくれてありがとう。眠れない時は、ホットミルクを飲むとお腹が温かくなるし眠りやすくなるよ。好きな音楽を聴いてリラックスしたり、趣味など好きなことに熱中したりするのもお勧めだよ」モモセさんが伝えると、大地さんはぽろぽろと涙を流しました。自分のことを認めてもらえた感じがして安心した大地さん。これまでひとりで悩んできたことを話せてよかった、と心の底から思いました。今夜はいつもより少し早めに眠れそうです。