2021年3月の健康便り —健康—

音響性難聴に注意しよう

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 大学3年生の佐々木蓮さんはロックを聴くことが大好き。オンライン授業がほとんどで自宅にいる時間が多くなり、ヘッドホンで音楽を聴く時間が増えています。昨夜は音楽を聴きながら眠ってしまいました。朝、起きた時から耳がふさがるような感じがします。心配になった佐々木さんは、友人の石井智彦さんにLINEで相談しました。石井さんはライブハウスによく一緒に行く仲間です。「それって難聴じゃない? 俺もライブの後、同じような症状になったよ。大学の健康管理センターに相談してみれば」

 ライブ会場で大音量のスピーカーの前に長くいたり、ヘッドホンやイヤホンで大きな音を聴き続けたりすると、耳が聞こえづらくなることがあります。これを音響性難聴といい、ヘッドホンやイヤホンの使い過ぎによるヘッドホン(イヤホン)難聴は特に問題視されています。耳の中にある有毛細胞が大きな音にさらされ続けて傷つき、壊れてしまうと、音を感じ取りにくくなります。傷ついた有毛細胞が再生することはありません。大音量で長時間音楽を聴いていてもすぐ難聴になるわけではありませんが、その影響は後々出てくると言われています。聞こえづらさのほかに、耳がふさがったような感じや耳鳴りを伴うこともあります。音響性難聴は根本的な治療法がありません。まずは以下のような予防を意識しましょう。

 難聴の程度が軽い場合、早期に対応すればステロイド剤などによる治療で効果が得られる場合があります。聞こえがおかしい、耳鳴りがあると感じたら早めに耳鼻科を受診しましょう。

 佐々木さんは健康管理センターの看護師モモセさんに電話で相談後、すぐに耳鼻科を受診。薬を内服し、ヘッドホンをしばらく使わないようにすると耳の聞こえは元に戻りました。佐々木さんは石井さんと一緒にモモセさんのところへ報告に行きました。「聞こえが悪いと、音楽どころか普段の生活もしづらかった。ずっとこれが続くんじゃないかと本当に心配しました。なんとかなるだろうと放置していたら、と思うとぞっとします」と佐々木さん。モモセさんは「聞こえの悪さや耳鳴りを放置する人は結構多いのよ。その結果、一生聞こえづらさと付き合っていくことも。今回は早く相談してくれて良かったわ」と言いました。石井さんが「お互い耳を大切して音楽を楽しもうな!」と佐々木さんの肩を叩きました。