2021年9月の健康便り —健康—

息苦しさの原因は…

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 大学4年生の岡本誠也さんは、大学内で突然胸の痛みと息苦しさに襲われました。健康管理センターの判断ですぐに病院へ。検査の結果「気胸」と診断されました。医師によると「気胸は10代から30代の長身やせ型の男性に多い病気なんだよ」とのこと。自宅で1週間は安静に過ごすように言われました。

 気胸は肺に穴があき、胸膜という部分に空気がたまります。そのため息を吸っても肺が膨らまなくなる病気です。明らかな原因がなく発症するものを「自然気胸」と言います。
 気胸の主な症状に呼吸苦、咳、胸の痛みがあります。胸膜に空気が入ると肺や心臓を圧迫して痛みが起きます。また肺にしっかり酸素が入らず、全身への酸素供給不足になると他の臓器が酸欠状態となることもあります。重症化しないうちに早めの受診が必要です。医療機関では聴診器で左右の肺の音を聞き比べ、レントゲンを撮って肺がしぼんでいないか、場合によりCT検査を行い肺の基礎疾患がないかを確認します。
 気胸は肺のしぼみ具合で程度が分類されます。軽度の場合は入院せず、1週間以上自宅で安静に過ごします。中等度から高度の場合は入院が必要になり、胸腔ドレナージを行います。胸腔ドレナージとは胸腔にたまった空気を外に出すために、肺に管を通して行う治療です。胸腔ドレナージで空気の漏れが止まらない場合は、チューブから薬剤を入れて胸膜を癒着させたり、手術で穴を塞いだりする治療が行われます。
 自然気胸は再発する恐れがあり、治療後は過度な運動をさけるなどの注意が必要です。また手術直後は気圧で肺に負担がかかる飛行機やスキューバダイビングなどは控えなくてはいけません。再発した場合は手術が必要になる場合もあります。
 呼吸苦や咳、胸の痛みなどの症状は、新型コロナウイルス感染症の症状とも似ています。受診する前には医療機関へ電話で相談してから受診すると良いでしょう。

 安静期間を過ぎ、岡本さんは健康管理センターの看護師モモセさんに症状が治まったことを電話で報告しました。「軽度で良かった。自宅でしっかり安静を保ったから治りも早かったのね。気胸は気になる症状があれば早めの受診が大切なの」とモモセさん。
 岡本さんは「急に胸が痛くなって驚きました。早く受診できて本当に良かったです。しばらくは再発しないように安静に過ごすようにします」と落ち着いた声で話してくれました。