2021年12月の健康便り —健康—

急性アルコール中毒やアルコール依存症にならないように

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 大学4年生の新川真紀さんは、“感染者数が落ち着いている今が外に飲みに行くチャンス!” と、友人の森本ひかりさんを誘いました。サークルやクラスの飲み会などもなく、久しぶりの外飲みで、うれしくなった新川さん。どんどんお酒が進み、次第に話や行動の反応が鈍くなっています。やがて新川さんの顔色は真っ白になりテーブルに突っ伏してしまいました。お店の人が大慌てで、救急車を呼んでくれました。

 短時間で大量にアルコールを摂取して、精神的、身体的に影響を受け、酩酊という一時的な意識障害を起こすものを急性アルコール中毒と言います。急性アルコール中毒になると、意識レベルの低下、嘔吐、呼吸状況の悪化、血圧低下、呼吸数の低下などが起こり、時には死亡することもあります。また、足元がふらついて転倒し、事故を起こす危険もあります。急性アルコール中毒で救急搬送される人は毎年いますが、男女ともに多いのは20代。自分の適量がわからず、無謀な飲酒をしてしまうからでしょう。若者、女性、飲酒後に顔が赤くなるタイプの人はアルコールの分解が遅く、急性アルコール中毒になりやすいので特に注意が必要です。
 飲酒中に気分が悪くなった人がいる時は、まずは衣服をゆるめ体を楽にしましょう。吐物による窒息をふせぐため横向きに寝かせ、体温低下を防ぐため毛布などをかけます。無理に吐かせようとはしてはいけません。酔った人を誰かが見守り、一人で放置するのは避けましょう。休ませても症状や意識の改善がなければ救急車を呼びましょう。

 長引くコロナ禍で自宅にいる時間が増え、うまくストレス発散ができずにアルコール依存症になる人も増えているようです。飲酒を続けているとアルコールの耐性ができて酔いにくくなり、酒量が増えていきます。酒を飲むことが最優先になり、飲酒をやめられなくなる、日常生活に支障が出ることもあります。そうなったら病院での治療が必要になります。アルコール以外のストレス発散法を見つけて、依存症にならないようにしましょう。

 救急車で病院へ運ばれ点滴治療を受け、自宅へ戻ることができた新川さん。後日、大学の健康管理センターで看護師のモモセさんに状況を報告しました。「久々に外で友達と飲んだら楽しくて、飲みすぎちゃった。お店の人や森本さんに迷惑をかけたし、大反省です」と新川さんは恥ずかしそう。モモセさんが「お酒がなくても友達と楽しくお話ができればストレスも発散できそうね」と言うと、さっそく「そうですね。リモートで友達とドラマ鑑賞会でもしようかな~」と、新たな計画を立て始めた新川さんなのでした。