2022年8月の健康便り —健康—

もしも性被害にあったら

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 大学4年生の佐藤麻衣さんは、日頃からバイト先の店長から胸を触られるなどのわいせつな行為を受けていました。嫌だな、と思っても強く言えずにいましたが、ある日無理やり性行為をされてしまいました。翌日、どうしたらよいかわからないまま大学へ行き、「あなた顔色が悪いけど大丈夫?」とモモセさんに声をかけられました。佐藤さんは抑えていたものが一気に込み上げてきて、泣きながら被害のことを話しました。

 性暴力とは、望まない性的な行為のことです。性的な暴力は、年齢、性別にかかわらず起こります。また、身近な人や夫婦、恋人の間でも起こりうることです。
 被害直後は、何が起こったかわからない、どうしたらよいかわからないと混乱していることがほとんどです。まずは安全な場所、安心できるところを探してください。加害者が近くにいる場合や、再度被害にあう危険がある場合は110番通報をしましょう。どうしたらいいかわからない場合に相談できるところがあります。まずは電話で相談してみてください。

 警察やワンストップ支援センターに連絡すると、この後どうしたらよいかを一緒に考えていくことができ、ケガがあれば病院で診察や治療が受けられます。ケガがない場合も、性感染症の検査や治療を行うこともあります。被害後72時間以内であれば、緊急避妊薬を処方してもらい服用することもできます。被害後、着替えや入浴、飲食をする前にまず相談することで、被害の証拠を残せる場合もあります。
 突然ショックな経験をすると、心と身体に様々な変化が生じます。不眠、食欲低下、不安、やる気がでない、などの症状が現れることがあります。一方で、無理に普段通り過ごそうとする、またはいつも以上に勉強やバイトに打ち込もうとする場合もあるかもしれません。いずれも被害にあった方の自然な反応です。精神的なケアについての他、警察に相談するかどうか迷っている、裁判や法律のことがよくわからないという時もワンストップ支援センターに相談できます。悩んだらまずは電話してみましょう。

 「これからのことは一人で抱えず、一緒に考えていきましょうね」とモモセさんが声をかけます。佐藤さんは勇気を出して、ワンストップ支援センターの番号を押しました。