2022年9月の健康便り —健康—

医療機関の適切な受診の仕方

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 春木優介さんはこの春から一人暮らしを始めた大学1年生です。数日前から胸に違和感があり、時々咳も出るので医療機関への受診を考えました。インターネットで調べると、気胸や肺がんなど怖い病名が出てきます。大きな病院に行ったほうがよいのかと思い、近くの総合病院に問い合わせをしました。すると受診するには紹介状が必要と言われ、対応に困った春木さん。健康管理センターのモモセさんに、どうしたらよいのか聞いてみることにしました。

 私たちは小さなクリニックも含めて医療機関のことを‟病院”とよく言っていますが、「病院」とは病床が20床以上の入院医療を主体とした医療機関を指し、救急医療や専門医療、高度医療などを専門としています。病床が19床以下、または入院設備のない医療機関は「診療所」と言い、外来患者の診療を中心として、軽い病気なのか、入院や専門治療が必要な病気なのかを判断するという機能を持ちます。地域での継続的な医療も担っています。
 医療機関は役割分担をしています。体調が悪くなったら、まずは近くの診療所を受診しましょう。診療所で診断や治療が済む場合もありますが、他の科や病院を紹介される場合もあります。病院で治療が一段落すると、逆紹介といって、かかりつけ医に戻る「病診連携」や「病病連携」を推進しています。そのため、200床以上の病院では、紹介状なく、初診で受診すると、病院が決めた特別料金が請求されるようになりました。病院の利益のためではなく、紹介状なく病院を受診するハードルを高くするためです。
 診療所がやっていない休日や夜間の急病やケガの場合は、お住まいの地域の当番医や休日夜間応急診療所を受診するとよいでしょう。休日夜間の救急の診療体制は、お住いの自治体のホームページや広報などで確認できます。
 なお、コロナ禍の今は、発熱や咳、鼻水、のどの痛みなどの風邪症状がある場合は、発熱外来の受診を検討する必要もあります。

 「適切な医療機関を選んで受診することは、自分の治療がスムーズに進むのはもちろんだけど、医療従事者の負担を減らしたり、医療費の節約になったり、社会にとってもプラスなことが多いのよ」とモモセさん。 
 春木さんは「まずは近くの診療所に受診の問い合わせをしてみます」と、スマートフォンで検索し始めました。