2022年10月の健康便り —健康—
大学2年生の田中翔さんは、胸の違和感と動いたときの息苦しさを感じて近くの内科を受診しました。すぐに総合病院の呼吸器外科を紹介され、そこで気胸と診断されました。医師からは「肺は少ししかしぼんでいないので安静に過ごして1週間後に再受診するように」と言われました。このまま安静にしているだけで治るのか心配になった田中さんは、健康管理センターの看護師モモセさんに聞いてみることにしました。
気胸とは、肺から空気が漏れることで肺がしぼんでしまう病気です。明らかな原因がなく発症する気胸を「自然気胸」といい、20歳前後の長身、やせ型の男性に多く発症します。交通事故や高所からの転落などによって、肋骨が折れ、肺に刺さることによって発症する気胸もあり「外傷性気胸」といいます。
症状は胸の痛み、息苦しさ、咳などで、程度は人によってさまざまです。無症状のこともありますし、運動すると息苦しさを感じる程度の場合もあります。症状や経過から気胸が疑われた場合、胸部レントゲン検査で確認します。胸部レントゲン検査では見つけにくい「潜在性気胸」の診断や肺の状態を見極めるためにCT検査を行うこともあります。
気胸は胸のしぼみ具合などの程度や症状によって治療法が変わります。軽度で症状がなければ安静に過ごして穴がふさがるのを待ち、数日でよくなることもあります。
痛みや息苦しさなどがあれば入院することもあります。中等度と高度の場合、入院し、胸腔にたまった空気を外に出す「胸腔ドレナージ」を行います。気胸は再発する確率が高い病気です。再発を繰り返す、初回であっても空気漏れが止まらないなど、肺の状態によっては手術を検討します。
「自分は軽度だったのですね。安心しました。痛みも息苦しさもないので、安静にして様子を見てみます」と田中さんは言いました。「入院になる場合もあるから、様子が変わるなど心配なことがあれば再度受診してね」と、モモセさんは優しく声をかけました。