2022年11月の健康便り —健康—

胃の痛みはピロリ菌のせいかも

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 大学4年生の加藤優奈さんは、子どもの頃から脂っこい食事をとると胃がもたれたり、痛くなったりします。そのために授業を休んだこともありますし、就職したら、仕事に支障が出るのではと不安でした。
 もともと胃腸が弱い体質なんだと思っていたのですが、ふと健康管理センターの掲示板にあった「ピロリ菌について」というポスターに目が留まりました。読んでみると自分の症状に当てはまる気がして、看護師のモモセさんに相談してみることにしました。

 ピロリ菌は口から入って感染し、人の胃の粘膜にすみつく細菌です。子どもの頃にすでに感染していることがほとんどで、長期間感染し続けることで慢性胃炎を発症します。その後、胃がんや十二指腸潰瘍などピロリ菌に関連のある病気を発症する場合があります。ピロリ菌の除菌に成功すると、胃炎が改善し、消化性潰瘍や胃がんなど関連のある病気の予防につながるので、ピロリ菌の感染が分かった場合は除菌治療を行います。

 慢性胃炎を発症した場合、胃痛や胃の不快感、胃もたれ、げっぷ、胸やけ、食欲不振などが起こります。また、自覚症状がなくても検査がきっかけで慢性胃炎と診断されることもあります。
 症状から原因を判断するのは難しいため、多くの場合胃カメラ検査を行います。呼気検査(吐いた息を検査する)や便検査、血液検査でピロリ菌に感染しているかどうか調べることもあります。除菌治療は抗生物質と胃酸を抑える薬を1日2回、1週間服用します。約1ヵ月半後に、除菌できたかどうかを呼気検査で調べます。

 「胃炎の原因は調べてみないと分からないんですね。ちょっと不安だけど、就職する前に原因がはっきりしていたほうがいいし、薬で治療できるなら受診してみようかな…」と言う加藤さんに、モモセさんは「まずは消化器内科で医師に相談してみましょうね」と優しく声をかけました。